最終更新日:2023年3月28日

日本水準原点

日本水準原点

日本水準原点は、日本における高さを決めるための基準となる点であり、測量法施行令(昭和24年政令第322号)第2条第2項において、その数値が定められています。

概要

我が国の高さ(標高)は、測量法により、東京湾の平均海面を0mとして定義されています。 しかし、測量のたびに、平均海面を求めることは効率的ではありません。

そこで、地上に固定するため「日本水準原点」が、1891年(明治24)にかつての陸地測量部内(東京三宅坂)に造られました。これが、実質的な高さ(標高)の原点です。

全国の主要な道路沿いに設置されている水準点の高さは、この日本水準原点に基づいて水準測量により決められ、この水準点がその地域において行われる高さの測量の基準となります。

日本水準原点標庫
日本水準原点

日本水準原点の構造

日本水準原点は、長く標高の基準となることを考慮し、地震時の上下変動を最小限に抑え、水平変動を減少させるため、地下約10mを超える基礎を打ち、基礎の煉瓦積と周囲の地盤の間に細砂を充填して築かれています。
また、温度変化に伴う伸縮の影響を抑えるため、基礎部分にはコンクリート、煉瓦、硬石を用い、基礎上部には堅くて丈夫な花崗岩台石に甲州産(現在の山梨県)の水晶板をはめ込み零位尺としています。零位尺のゼロ目盛りの高さを24.3900mとしています。

日本水準原点と日本水準原点標庫は令和元年に国の重要文化財に指定されました。
同年には土木学会選奨土木遺産にも認定されています。

日本水準原点構造図

日本水準原点の近くには、「甲、乙、丙、丁、戊(ぼ)」と名づけられた一等水準点が5点あります。「丁」は地上にありますが、他の4つの水準点は、普段は鉄の蓋で覆われています。このうち「甲、乙、丙」もまた重要文化財に指定されています。

一等水準点 丙
一等水準点 丁
一等水準点と水準原点
水準原点の周囲にある一等水準点

原点数値の変遷

1891年(明治24年)に水準原点を設置した際に、原点数値は24.500mと定めました。
しかし、1923年(大正12年)の関東大震災で大きな地殻変動があり、1928年(昭和3年)に原点数値は24.500mから24.414mに変更しました。

1949年(昭和24年)の測量法施行令制定により24.4140m と定められました。
2011年(平成23年)に東北地方太平洋沖地震に伴い、原点数値は24.3900mに改定しました。

西暦(和暦) 原点数値 記事
1891年(明治24年) 24.500m 日本水準原点設置
1928年(昭和3年) 24.414m 関東大震災
1949年(昭和24年) 24.4140m 測量法施行令制定
2011年(平成23年) 24.3900m 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震