日本全国の湿地面積変化の調査結果

調査結果について

1996(平成8)年-1999(平成11)年に実施した調査結果の概要は次のとおりです。この調査結果は2000(平成12)年までにまとめたものです。

全国

  1. 明治・大正時代は、全国で2110.62km2の湿地が存在しました。
  2. 1999(平成11)年では、全国で820.99km2の湿地が存在しています。
  3. その結果、明治・大正時代に存在した湿地面積の61.1%に当たる1289.62km2(琵琶湖の約2倍の広さに相当)が消失したことがわかりました。

都道府県

  1. 北海道の湿地面積は、大正時代で1771.99km2(全国の約84%)を占め、1999(平成11)年では708.67km2(全国の約86%)で、大正時代及び現在も全国第1位の湿地面積を有しています。一方、1063.32km2(大正時代の約60%、全国変化量の約82%)の湿地が減少し、減少面積においても全国第1位となりました。
  2. 減少の第2位は青森県で、大正時代には80.78km2でしたが、1999(平成11)年では12.18km2に減少しました。
  3. 増加の全国第1位は栃木県で、明治・大正時代には11.72km2でしたが、1999(平成11)年では20.83km2に増加しました。増加の原因は、渡良瀬(わたらせ)遊水地の湿地化によるものです。

湿地単位

  1. 全国で最も減少した湿地は、北海道の釧路湿原です。大正時代は337.39km2でしたが、1999(平成11)年では226.56km2で約33%の湿地が消失しました。
  2. 北海道以外で最も減少した湿地は、青森県の屏風山(びょうぶさん)湿地群です。大正時代には15.41km2でしたが、1999(平成11)年では1.58km2で約90%が消失しました。
  3. 全国で最大の増加は、栃木、群馬、埼玉、茨城にまたがる渡良瀬遊水地です。明治・大正時代に3.48km2でしたが、1999(平成11)年では19.67km2に増加しました。

図1:北海道における大正時代の湿地の分布図

図1-北海道における湿地の分布図
(大正時代)

図2:北海道における1999年(平成11年)の湿地の分布図

図2-北海道における湿地の分布図
(1999(平成11)年)

図1、図2は北海道における大正時代と1999(平成11)年の湿地の分布図です。湿地の多いところは、大正時代には、苫小牧から札幌を経て石狩川中流域付近の道央の地域、帯広から釧路を経て標津(しべつ)付近の道東の地域、浜頓別(はまとんべつ)やサロベツ原野を中心とした道北の地域の3地区が存在しました。しかし、1999(平成11)年になると道央の湿地はほとんどなくなり、道東も釧路より西側が同様になくなっています。1999(平成11)年に、目立って湿地が残っている箇所は、道東の釧路から標津付近の地域と道北の地域だけになっています。

その他

行政界は、国土地理院発行の「数値地図25000(行政界・海岸線)」のデータを使用しました。
明治・大正時代と1999(平成11)年の2時期の5万分1地形図を比較してわかった湿地面積の変化要因としては、減少では、宅地化、農耕地化によるもの、増加では、地形図の作成方法を航空測量に変更したため、新たに湿地として表示されたものが主でした。
 
番号 表題 種類 内容
グラフ1 現在における全国湿地名称別の湿地面積順位(上位20) 棒グラフ 1999(平成11)年における湿地面積が大きいもの上位20を選び、面積を表示。
グラフ2 明治・大正時代と現在の湿地名別による湿地面積の比較(上位20) 棒グラフ 明治・大正時代の湿地面積が大きいもの上位20を選び、同時期の面積及び1999(平成11)年の面積を表示。
グラフ3 全国湿地名称別による湿地面積の減少順位(上位20) 棒グラフ 明治・大正時代から1999(平成11)年にかけて湿地面積の減少量の多かった上位20の湿地を表示。
グラフ4 全国湿地名称別による湿地面積の増加順位(上位20) 棒グラフ 明治・大正時代から1999(平成11)年にかけて湿地面積の増加量の多かった上位20の湿地を表示。
グラフ5 明治・大正時代と現在の分類区分別湿地面積の変化 棒グラフ 日本全国において明治・大正時代から1999(平成11)年にかけての湿地面積の変化を表示。
グラフ6 全国の地域別・分類区分別の湿地面積 棒グラフ 日本全国を北海道、東日本、西日本の3地区に分け、湿地面積の明治・大正期から1999(平成11)年までの減少、増加、残存状況を表示。
グラフ7 全国の湿地の分類区分ごとの比率 円グラフ 日本全国の湿地面積の増加と減少の割合を表示。
表1 全国の湿地名称別の面積 一覧表 湿地名ごとに明治・大正期及び1999(平成11)年の面積、増加減少の量及びその変化率を示す。
表2 全国の市区町村別の湿地面積 一覧表 各市町村に含まれる湿地ごとに明治・大正期及び1999(平成11)年の面積、増加減少の量及びその変化率を示す。
表3 湿地名称と行政名の対応表 一覧表 名称のある湿地について湿地の含まれる行政名及び行政コードを示す。
表4 都道府県別の湿地面積の変化 一覧表 都道府県別の明治・大正時代と1999(平成11)年の湿地面積及び湿地面積の変化量や変化率などを示す。
表5 湿地名称ごとの湿地面積の減少・増加(上位3) 一覧表 日本全国を北海道、東日本、西日本の3地区に分け、明治・大正期から1999(平成11)年において湿地面積の減少・増加における上位3箇所を表示。