最終更新日:2021年8月20日

2021年8月14日ハイチ共和国の地震に伴う地殻変動(暫定)

合成開口レーダー(SAR)解析によって明らかとなった地殻変動

作成:2021年8月20日 English version of this page

概要

2021年8月14日にハイチ共和国でM7.2(USGS)の地震が発生しました。日本の地球観測衛星「だいち2号」(ALOS-2)に搭載された合成開口レーダー(PALSAR-2)のデータを使用してSAR干渉解析を行いました。得られた結果は以下の通りです。
  • 2010年1月12日ハイチ共和国の地震(2010年1月12日ハイチ共和国の地震に伴う地殻変動)の地殻変動域の約100kmほど西側で大きな地殻変動が見られます。
  • ハイチ共和国の南部を東西に走るEnriquillo-Plantain Garden断層帯に沿って地殻変動が見られます。
  • 顕著な変動域は大きく西側と東側に分かれています。
  • 断層帯の南側に比べて北側で変動量が大きくなっています。
  • 変動の勾配が大きい領域は、東側ではほぼ既知の断層帯に沿って分布していますが、西側ではやや北に分布しています(図1)。
  • 西側の変動域では、地表断層に対応する可能性がある非干渉領域が見られます(図1)。
  • 図1において、西側の変動域では、最大80cm以上の衛星に近づく向きの地殻変動が観測されました。

SAR干渉解析結果

図1. 干渉画像。干渉縞が密な領域は大きな変動があったことを示す。断層線はStyron et al. (2020)より。

図1. 干渉画像。干渉縞が密な領域は大きな変動があったことを示します。
断層線はStyron et al. (2020)より。 [PNG: 372KB]


図2. 干渉画像。干渉縞が密な領域は大きな変動があったことを示す。断層線はStyron et al. (2020)より。

図2. 干渉画像。干渉縞が密な領域は大きな変動があったことを示す。
断層線はStyron et al. (2020)より。 [PNG: 408KB]


図3.解析エリア


番号
観測日 観測時間
(UTC)
衛星
進行
方向
電波
照射
方向
観測
モード
*1
入射角
(震央付近)
垂直
基線長
1 2020-12-23
2021-08-18
5:02頃 北行 F-F
(10m)
43° +8m
2 2019-12-10
2021-08-17
16:42頃 南行 W-W
(350km)
46° +165m

*1 F:高分解能(Fine)、W:広域観測(Wide)
(参考: ALOS-2プロジェクト/PALSAR-2(JAXA)

解析:国土地理院   原初データ所有:JAXA
本成果は、地震予知連絡会SAR解析ワーキンググループの活動を通して得られたものです。

地震概要

地震発生日時 2021年8月14日12時29分(UTC)
2021年8月14日21時29分(JST)
震源位置 18.408°N、 73.475°W、深さ10.0 km
(USGS、2021年8月14日現在)
マグニチュード M=7.2
(USGS、2021年8月14日現在)
                

分析に使用した人工衛星

日本の地球観測衛星 「だいち2号」(ALOS-2)

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