第197回 令和8年9月18日
1.干渉SAR時系列解析への活用に向けた誤差低減手法の検討
石本 正芳(宇宙測地研究室)
干渉SAR時系列解析は多くの干渉画像を統計的に処理することで、変動の検出精度を向上させるとともに、変動の時間変化を把握することが可能な解析技術である。しかしながら、干渉画像に含まれる誤差が十分に低減されず、最終的な解析結果に影響する場合もある。そこで、より安定した解析結果を得ることを目的とし、干渉画像の誤差を低減する手法の検討を行った。本発表では、検討した手法と適用した結果について報告する。
2.異種画像間の自動画質合わせ込みフィルタ開発の初期検討
笹川 啓(地理情報解析研究室長)
空中写真と衛星画像のように撮影プラットフォームが異なる画像間の解析においては、解像度を揃えたにしても、画質が異なることで、その後の自動変化抽出のような処理における性能劣化に課題があった。本研究では、このような解像度の異なる異種画像間の画質を自動的に合わせ込むフィルタリング手法の初期検討を行ったので、その結果を報告する。
第196回 令和8年7月17日
1.熊本地震再訪: 破壊はなぜカルデラ内で止まったか
小林 知勝(宇宙測地研究室長)
熊本地震の発生から10年が経過した。この間、SARデータを用いた地殻変動解析により詳細な断層運動を捉えるとともに、重力データに基づく断層近傍の地殻構造の推定を行い、布田川断層東端部における断層運動と地殻構造との関係を精査してきた。本発表では、これら測地データの解析結果に加え、断層破壊の数値シミュレーションによる検証結果を紹介する。これらを統合した分析を通じて、阿蘇カルデラ内へ進展した布田川断層のすべりが、どのような要因によって制御され、終息に至ったのかについて考察する。
第195回 令和8年3月13日
1.PatchJGDパラメータの対象範囲の境界における連続性と地表変動モデルへの適用について
中川 弘之(宇宙測地研究室)
宇宙測地研究室は昨年度に終了した特別研究で、日本国内の地表変動を補正して任意のエポック間で測位座標を変換する仕組みを提案した。これは、GEONET定常解析解の時系列をグリッド化したモデルに、大地震による測量成果改定地域内ではPatchJGDパラメータによる地震時の変動を加味して座標を変換する。しかし、成果改定地域内外での座標変換補正量の連続性は評価していなかった。
本発表では、PatchJGDパラメータの範囲の境界における連続性や歪みについて示すとともに、前述の補正量の成果改定地域内外での連続性について報告する。
2.特別研究「GNSSと異種センサを統合した新しい測地観測技術の開発」~構内試験観測結果~
川畑 亮二(地殻変動研究室)
国土地理院では、地震・火山活動などによるメソスケール以下の地殻変動を監視しメカニズム把握や国家座標の維持管理に資するため、GNSSと異種センサを統合した新しい測地観測技術の開発を実施している。本研究において令和6年度に開発した、GNSSとMEMSによる傾斜・加速度計を両方搭載した小型で機動的な測地観測装置を用いて、国土地理院構内で試験観測を行った結果について報告する。
3.特別研究「GNSSと異種センサを統合した新しい測地観測技術の開発」~架台及び観測装置の開発と評価~
林 京之介(地殻変動研究室)
国土地理院では、地震や火山活動に伴う迅速かつ稠密な地殻変動観測を実施するため、GNSSとMEMS加速度計センサを統合した小型GNSS-MEMS観測装置の開発を進めている。令和6年度は小型GNSS-MEMS観測装置の初版を開発し、今年度は安定性及び可搬性の向上を目的とした改良版を開発した。本発表では、開発した小型GNSS-MEMS観測装置の特徴や架台の安定性について報告する。
4.2025年7月30日カムチャツカ半島東方沖の地震の津波到達前に観測された潮位変化
矢来 博司(地理地殻活動研究センター長)
カムチャツカ半島東方沖の地震に伴う津波は太平洋沿岸を中心に日本各地で観測されたが、各地の潮位観測データを見ると、いくつかの観測点では、津波の日本への到達時刻より前に明瞭な潮位変化が生じている。この潮位変化について調査を行ったので報告する。
第194回 令和8年1月16日
1.GeoAIの最近の動向について
坂部 真一(地理地殻活動総括研究官)
2022年11月のChatGPTの公開により一躍注目の的となった生成AIであるが、本講ではその1分野として位置づけられるであろうGeoAI(地理AI)について取り上げる。GeoAIに関する最近の取組や関係機関の動向を紹介しつつ、測量分野における生成AIの対応能力及び国土地理院が今後取り組むべき施策案を考察する。
2.GEONETを用いたリアルタイムPPP-ARの高度化
髙松 直史(宇宙測地研究室)
PPP(Precise Point Positioning)では、ネットワーク観測により推定したバイアスプロダクトを補正情報として適用することで、精度向上のポイントとなるアンビギュイティ解決が可能となる。先行研究によりネットワーク観測網の空間規模や受信機種がバイアスの精度に影響を及ぼすことが指摘されてきたが、それらの地殻変動監視への影響は十分に議論されていない。
本研究では、座標値のノイズ特性やイベントへの適用事例を踏まえ、日本の地殻変動監視に最適なネットワーク設計を考察する。