最終更新日:2023年3月28日

地震や火山活動に伴う座標・標高補正(非定常)

 基準点の位置は、地震、火山噴火に伴う地殻変動等により現況に適合しなくなる場合があります。変動した基準点を利用できるようにするには、再測量を行うことが最良ですが、改算や地域毎の補正パラメータによる計算処理も可能です。

国土地理院では、位置の変化を補正するための補正パラメータとして、水平位置を補正する座標補正パラメータと標高値を補正する標高補正パラメータを提供しています。

 提供地域であっても液状化や地すべり、地割れ等の局所的な地盤の変動が生じている場合は正しい補正ができないことがありますのでご注意ください。

各種ソフトウェアによる座標・標高補正計算

座標・標高補正パラメータを適用する補正計算のツールとして以下のソフトウェアをご利用ください。
  • DM補正ソフトウェア
    • 数値地形図データを変動後の値に補正します。
  • WEB版PatchJGD及びPatchJGD(標高版)
    • WEB版PatchJGDにて緯度経度、平面直角座標(XY)座標補正計算、 
      WEB版PatchJGD(標高版)にて標高補正計算ができます。
      標高に関しては、場合によりジオイド・モデルの改定などによる三角点の標高改定など、地殻変動以外の非定常の要因による補正を行う必要があります。WEB版PatchJGD(標高版)はその補正にも対応しています。
  • PatchJGD_HV
    • 緯度経度、平面直角座標、標高を変動後の値に補正します。
      WEB版PatchJGD及びPatchJGD(標高版)はオンラインで利用するソフトウェアですが、このソフトウェアは予めソフトウェア及び補正パラメータをダウンロードしておくことで、 WEB版PatchJGD及びPatchJGDをオフライン環境でも使用できるようにしたものです。 WEB版PatchJGD及びPatchJGD(標高版)の補正パラメータを適用することができます。
参考:公共測量成果改定マニュアル

座標・標高補正パラメータの作成の流れ

地震や火山活動に伴う非定常の座標・標高補正は、使用するデータは異なりますが、補正パラメータ作成の流れは定常時的な地殻変動補正と共通しています。
[1]電子基準点のデータや三角点の測量により、地震や火山活動に伴う地殻変動量を把握します。
座標補正パラメータの作成に使用する地殻変動量の例
(橙色の矢印:電子基準点や三角点での水平変動量)
[2]電子基準点や三角点で検出された地殻変動量をもとに、クリギング法という補間法を用いて、約1km間隔の格子点上での地殻変動量を求めます。

この、約1km間隔の格子点上での地殻変動量のデータを、座標・標高補正パラメータとして提供しています。ただし、地殻変動が検出された地域であっても、地殻変動の様相が複雑であるなどの理由で地殻変動量を正しく推定できない地域は、補正パラメータを提供していません。
作成した座標補正パラメータの例(緑色の矢印)
(橙色の矢印:電子基準点や三角点での水平変動量)

座標・標高補正パラメータを使った補正の流れ

任意の地点での地震や火山活動に伴う地殻変動量は、座標・標高補正パラメータのうち、求めたい地点に最も近い4つの格子点の地殻変動量をもとに、バイリニア補間法で求めます。

バイリニア補間法で求めた地殻変動量を、地震や火山活動による地殻変動が発生する前の位置座標に加えることで、新しい座標値を求めることができます。 この計算は、「Web版PatchJGD」「PatchJGD(標高版)」「PatchJGD HV」「DM補正ソフトウェア」を使って行うことができます。
座標補正パラメータから任意の地点での地殻変動量を求める例
公共測量成果を改定するための作業方法の詳細は、「公共測量成果改定マニュアル」をご確認ください。