最終更新日:2023年12月15日

平成19年能登半島地震の地表変動に関するSAR干渉画像判読カード

平成19年能登半島地震の事例

はじめに

 3月25日の平成19年(2007年)能登半島地震(マグニチュード6.9)では、震源が海域に位置しながら、陸域に極めて近い場所で発生したため能登半島西岸を中心に家屋の全壊が多発しました。雨貝ほか(2008)1)は、平成18年1月24日にわが国が打ち上げた人工衛星「だいち」2)に搭載されているPALSAR3)センサデータによるSAR干渉画像から、地震に伴う地殻変動に加えて地すべり性などの局所的な地表面の変化を捉えました。
 また、宇根ほか(2007)4)・宇根ほか(2008)5)は、雨貝ほか(2007)のSAR干渉画像から、Ozawa et al.(2008)6)の断層モデルをもとに計算した広域的な弾性変形のシミュレーションSAR干渉画像を取り除いた地殻変動差分画像(図1)を作成し、その画像から見出される多数の地すべり性変動が実際に生じているのかその可能性を検討するため、現地調査や防災科学技術研究所(2000)7)の地すべり地形データベースとの重ね合わせなどの調査・解析を行いました。しかし、これまで、そのような局所的な変動を示す干渉縞を微地形と関連づけてどのように読み解くのか必ずしも明確にはなっていません。
 そこで、等高線図の読図と写真判読を組み合わせて地すべり地形を中心とした微地形分類図を作成するとともに、干渉縞の今後の解釈の参照となるような「平成19年能登半島地震の地表変動に関するSAR干渉画像判読カード」(以下、判読カードという)を試作したので、その結果を報告するものです。
 なお、判読カードに掲載した微地形分類図の基図(等高線図)は、北陸電力が地震前に計測した航空レーザ測量データによるものです。

「平成19年能登半島地震」で発生した地表変動に関するSAR干渉画像判読カード」作成範囲を示した。索引図に掲げる5つの範囲のうち、干渉縞が判りやすいように一部分を拡大して判読カードを作成しました。 
図1 地殻変動差分画像。図中の「A~F」は、後述の図2「A~F」に一致。(宇根ほか, 2007に加筆・修正)

(クリックすると拡大します)


1) 雨貝ほか, 2007, 衛星合成開口レーダーを用いた平成19年(2007年)能登半島地震に伴う地殻・地盤変動の検出. 国土地理院時報 113: 3-11.[PDF:1.1MB]

2) 陸域観測技術衛星(Advanced Land Observing Satellite: ALOS)

3) フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(Phased Array type L-band Synthetic Aperture Radar: PALSAR)

4) 宇根ほか, 2007, 衛星合成開口レーダー画像で抽出された平成19年(2007年)能登半島地震に伴う地形変化. 国土地理院時報 113: 41-47.[PDF:1.3MB]

5) 宇根ほか, 2008, SAR干渉画像を用いた能登半島地震及び中越沖地震に伴う地表変動の解析. 日本地すべり学会誌 45: 125-131.[PDF:0.8MB]

6) Ozawa et al., 2008, Crustal deformation associated with the Noto Hanto Earthquake in 2007 in Japan. Earth Planets Space 60: 95-98.

7) 防災科学技術研究所, 2000, 地すべり地形データベース

 

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国土地理院、2009.平成19年能登半島地震の地表変動に関するSAR干渉画像判読カード、国土地理院技術資料H・1-No.9

判読カードの作成範囲

図2の「A~F」の各範囲において、局所を拡大して作成した判読カードを次の「A~F」に示しています。

「平成19年能登半島地震の地表変動に関するSAR干渉画像判読カード」作成範囲。索引図に掲げる5つの範囲を地形図上で図示した。

図2 判読カードの索引図 (クリックすると拡大します)

 

判読カードにおける微地形分類の凡例

図3に、判読カードにおける微地形分類の凡例を示します。
図3 判読カードにおける微地形分類の凡例

図3 微地形分類の凡例
 

 

 

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住所:〒305-0811  茨城県つくば市北郷一番
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