GNSSを使用した測量のいろいろ

単独測位

単独測位は1台の受信機と4個以上の衛星を使用する
GNSS衛星から送信される衛星の位置や時刻などの情報を 1 台のアンテナで受信することにより、衛星から電波が発信されてから受信機に到達するまでに要した時間を測り、距離に変換します。
位置のわかっているGNSS衛星を動く基準点として、4 個以上の衛星から観測点までの距離を同時に知ることにより、観測点の位置を決定するものです。
この方法は、衛星の位置誤差や衛星からの電波が対流圏や電離層を通過するときの電波の遅れなどから、約10mの誤差で位置が決定されます。
船舶や飛行機、自動車などのナビゲーションとして利用されています。
 

相対測位

相対測位は2台以上の受信機を使用して同時観測を行う
2 台以上の受信機を使い、同時に 4 個以上の同じGNSS衛星を観測します。
GNSS衛星の位置を基準とし、GNSS衛星からの電波信号がそれぞれの受信機に到達する時間差を測定して、2 点間の相対的な位置関係を求めます。この方法を相対測位と呼んでいます。
各観測点で同じ衛星の電波を受信していることや衛星から発射された電波が同じような気象条件の中を通過してくることから、2 点の観測値の差をとることにより、観測値に含まれる衛星の位置誤差や対流圏・電離層遅延量が消去されます。
測量には、分解能の高い電波の波を利用しています。衛星から発射された電波が各アンテナに到達するまでの時間の差を位相の差で知ることにより、100万分の1 (10kmで1cmの誤差)の精度で 2 点間の相対的な位置関係が分かります。
 

DGPS測位、RTK-GPS測位

DGPS測位、RTK-GPS測位は既知点からの補正情報を受け取って測位する
DGPS(ディファレンシャルGPS)測位、RTK-GPS(リアルタイムキネマティックGPS)測位は、位置の分かっている基準局と位置を求めようと する観測点で同時にGPS観測を行い、基準局で観測したデータを無線等を用いて観測点へリアルタイムに送信し、基準局の位置成果に基づき観測点の位置をリ アルタイムに求めることができます。
DGPSは、両点で単独測位を行い、基準局において位置成果と観測された座標値の差を求め、観測点に補正情報として送信します。
RTK-GPSは、両点で位相の測定を行い基準局で観測した位相データを観測点に送信します。
観測点のGNSS受信機では、受信データと基準局から送信されたデータをリアルタイムで解析することにより、観測点の位置を決定します。
これらの方法では、各種の誤差要因が消去されることから、DGPSは数m、RTK-GPSは数cmの誤差で位置が決定されます。
 

ネットワーク型RTK-GPS測位

ネットワーク型RTK-GPS測位では電子基準点の観測データからリアルタイムに生成された補正情報を利用する
ネットワーク型RTK-GPS測量は、観測に含まれる誤差を電子基準点のリアルタイム観測データ等を利用して補正することで、RTK-GPSでは苦手とされる長距離基線の測量を可能にするとともに、短距離基線のRTK-GPSと同程度の測位精度が期待されます。ネットワーク型RTK-GPS測量はいくつかの方式が提案されており、日本を含む数カ国で既に実用化されているものもあります。