令和4年3月の地殻変動

発表日時:2022年4月8日(金)16時00分

全国の地殻変動概況

 国土地理院が全国に展開している電子基準点等のGNSS連続観測網(GEONET)の観測結果から求めた、2022年2月中旬から2022年3月中旬までの1か月間の地殻変動概況は、別紙1~7のとおりです。東北地方を中心に、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。また、2022年3月16日に発生した福島県沖の地震に伴う地殻変動が見られます。
 火山周辺では、硫黄島において地殻変動が見られます。

トピックス

  • 3月16日23時36分に発生した福島県沖の地震(M7.4、最大震度6強)に伴い、震源域に近い電子基準点「牡鹿」や「S石巻」で北向きに3cm程度、「宮城川崎」や「福島2」で東向きに2cm程度、「楢葉A」や「小高」で南から西向きに1cm程度の地殻変動が、上下方向では「牡鹿」や「S石巻」で2cm程度の隆起が牡鹿半島で見られるなど、宮城県や福島県を中心に広い範囲で地殻変動が観測されました。(別紙8)
  • GNSS観測によると、2020年夏頃から紀伊半島西部・四国東部でそれまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。この変動は、紀伊水道周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙9)
  • GNSS観測によると、2019年春頃から四国中部でそれまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。この変動は、四国中部周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙10)
  • GNSS観測によると、2020年夏頃から九州南部で観測されている、それまでの傾向とは異なる地殻変動は、最近は停滞しているように見えます。この変動は、日向灘南部のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙11)
  • 石川県能登地方では、GNSS観測によると、2020年12月頃から「能都」で南南西方向の変動が、「珠洲」で隆起が見られるなど、この地域の地震活動とほぼ同期して地殻変動が観測されています。 (別紙12)
  • GNSS観測によると、2022年2月頃から沖縄本島北西沖で発生している地震活動(最大地震 3月17日 M5.9)とほぼ同期して、久米島の「具志川」で、南東方向にわずかな地殻変動が観測されています。 (別紙13)
  • 御嶽山では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙14)
  • 硫黄島では、「硫黄島1」及び「M硫黄島A」で隆起が、「硫黄島2」で南向きの変動が継続しています。(別紙15)
  • 阿蘇山では、阿蘇山を取り囲む基線で2021年9月頃から見られていた伸びは、2021年12月頃から停滞しています。(別紙16)
  • 霧島山では、霧島山を挟む「えびの」―「牧園」等の基線で2021年12月頃からわずかな伸びが見られます。(別紙17)
  • 桜島周辺では、鹿児島(錦江)湾を挟む「鹿児島郡山」-「鹿児島福山」等の基線で2021年11月頃から見られていたわずかな伸びは、2022年2月頃から停滞しています。また、桜島島内の「桜島」-「鹿児島2」等の基線で2021年11月頃から見られていたわずかな伸びは、2022年2月頃から停滞しています。(別紙18)
  • 薩摩硫黄島では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙19)
  • 口永良部島では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙20)
  • 諏訪之瀬島では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙21)

補足説明

  • 全国の1年間(2021年3月中旬から2022年3月中旬まで)の地殻変動からは、以下のような傾向が見られます。(別紙22)
    ◦ 東北地方を中心とした広い範囲で、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。
    ◦ 硫黄島では、島内の地殻変動が見られます。
    ◦ その他の地方では、プレート運動による定常的な地殻変動が見られます。

別紙一覧

出典

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(出典記載例) 「出典:国土地理院」

問い合わせ先

国土交通省国土地理院
〒305-0811 茨城県つくば市北郷1番
地理地殻活動研究センター   地殻変動研究室長   宗包 浩志(029-864-6925)
測地観測センター          地殻監視課長      仲井 博之 (029-864-5971)
測地観測センター          地震調査官        矢来 博司 (029-864-4825)

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