令和3年11月の地殻変動

発表日時:2021年12月8日(水)16時00分

全国の地殻変動概況

 国土地理院が全国に展開している電子基準点等のGNSS連続観測網(GEONET)の観測結果から求めた、2021年10月中旬から2021年11月中旬までの1か月間の地殻変動概況は、別紙1~7のとおりです。東北地方を中心に、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。
 火山周辺では、硫黄島において地殻変動が見られます。

トピックス

  • GNSS観測によると、2020年夏頃から紀伊半島西部・四国東部でそれまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。この変動は、紀伊水道周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙8)
  • GNSS観測によると、2019年春頃から四国中部でそれまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。この変動は、四国中部周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙9)
  • GNSS観測によると、2020年夏頃から九州南部で観測されている、それまでの傾向とは異なる地殻変動は、2021年春頃に鈍化したまま、現在もその状態が続いているように見えます。この変動は、日向灘南部のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙10)
  • 石川県能登地方では、GNSS観測によると、2020年12月頃から「能都」で南南西方向の変動が、「珠洲」で隆起が見られるなど、この地域の地震活動とほぼ同期して地殻変動が観測されています。 (別紙11)
  • 硫黄島では、「硫黄島1」及び「M硫黄島A」で隆起が、「硫黄島2」で南向きの変動が継続しています。なお、2021年11月22日から11月25日にかけて、「硫黄島1」で2cm程度の北向きの変動及び5cm程度の沈降、「M硫黄島A」で1cm程度の南向きの変動が見られました。(別紙12)
  • 西之島では、だいち2号の観測データを用いたSAR干渉解析結果によると、2021年9月10日から11月5日の間に、火砕丘の北東側に衛星から遠ざかる大きな変動が見られます。また、2021年11月19日のSAR強度画像では、火砕丘の東側で地形の変化が見られます。(別紙13)
  • 阿蘇山では、阿蘇山を取り囲む基線で2021年9月頃から伸びが見られます。(別紙14)
  • 桜島周辺では、鹿児島(錦江)湾を挟む「垂水」-「隼人」の基線で2021年1月上旬から見られたわずかな伸びは、2021年6月頃から停滞しています。「鹿児島郡山」-「鹿児島福山」の基線で2020年8月頃から見られたわずかな伸びは、2021年3月頃から停滞しています。桜島島内の基線の変動は2020年4月頃から停滞しています。(別紙15)
  • 薩摩硫黄島では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙16)
  • 口永良部島では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙17)
  • 諏訪之瀬島では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙18)

補足説明

  • 全国の1年間(2020年11月中旬から2021年11月中旬まで)の地殻変動からは、以下のような傾向が見られます。(別紙19)
    • 東北地方を中心とした広い範囲で、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。
    • 硫黄島では、島内の地殻変動が見られます。
    • その他の地方では、プレート運動による定常的な地殻変動が見られます。

参考

  • 2021年8月13日からの火山活動により新島が確認された福徳岡ノ場周辺を、だいち2号及びLandsat-8の観測した衛星画像を解析し、新島の形状、大きさ等を明らかにしました。
     Landsat-8での2021年11月21日の画像では、11月5日と比べて陸地の形が変わり外周が減ったものの、面積に大きな変化はありません。だいち2号の2021年11月15日のSAR強度画像では、11月10日と比べて大きな変化は見られません。(別紙20)

別紙一覧

出典

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(出典記載例) 「出典:国土地理院」

問い合わせ先

国土交通省国土地理院
〒305-0811 茨城県つくば市北郷1番
地理地殻活動研究センター  地理地殻活動総括研究官  黒石 裕樹    (029-864-2477)
測地観測センター      地殻監視課長       仲井 博之    (029-864-5971)
測地観測センター      地震調査官        和田 弘人    (029-864-4825)

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