令和2年4月の地殻変動

発表日時:2020年5月13日(水)16時00分

全国の地殻変動概況

 別紙1~7は、国土地理院が全国に展開している電子基準点等のGNSS連続観測網(GEONET)の観測結果から求めた2020年3月中旬から2020年4月中旬までの1か月間の地殻変動を表したものです。東日本の広い範囲で、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。
 火山周辺では、硫黄島において地殻変動が見られます。

トピックス

  • 4月20日に発生した宮城県沖の地震(M6.2、最大震度4)に伴い、わずかな地殻変動が観測されました。(別紙8)
  • GNSS観測によると、2019年中頃から志摩半島でそれまでの傾向とは異なるわずかな地殻変動を観測しています。この変動は、志摩半島周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙9)
  • GNSS観測によると、2019年春頃から紀伊半島西部・四国東部で観測されている、それまでの傾向とは異なる地殻変動は、最近は停滞しているように見えます。この変動は、紀伊水道周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙10)
  • 草津白根山周辺では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙11)
  • 硫黄島では、「硫黄島1」及び「M硫黄島A」では隆起が、「硫黄島2」では南向きの変動が継続しています。(別紙12)
  • 西之島では、だいち2号によるSAR解析結果によると、火砕丘の北側から東側にかけて溶岩の堆積等によるとみられる非干渉領域が見られ、北側、北東側及び東側で海岸線に達しています。また、これら付近では海岸線の変化が見られます。さらに、火砕丘の北側から東側にわたる広い範囲で、堆積した溶岩の経時変化等によるとみられる複雑な変動が見られます。(別紙13)
  • 阿蘇山周辺では、阿蘇山を取り囲む基線で、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙14)
  • 霧島山周辺では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙15)
  • 桜島周辺では、鹿児島(錦江)湾を挟む「鹿児島福山」-「隼人」等の基線でわずかな伸びが見られます。また、桜島島内の基線ではわずかな伸びが継続し、「桜島」で見られていた隆起の傾向は3月下旬頃から鈍化しています。(別紙16)
  • 薩摩硫黄島では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙17)
  • 口永良部島では、2020年3月頃からわずかな隆起がみられます。「上屋久2」-「口永良部島」で2015年の噴火後から見られた長期的な縮みは、2018年半ば頃からほぼ停滞しています。(別紙18)
  • 諏訪之瀬島では、「十島」で見られていた、南東方向の小さな変動は2020年3月頃から鈍化しています。(別紙19)

補足説明

  • 全国の1年間の地殻変動(2019年4月中旬から2020年4月中旬まで、別紙20)からは、以下のような傾向が見られます。
    • 東北から関東・中部までの広い範囲で、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。
    • 硫黄島では、島内の地殻変動が見られます。
    • その他の地方では、プレート運動による定常的な地殻変動が見られます。

別紙一覧

問い合わせ先

国土交通省国土地理院
〒305-0811 茨城県つくば市北郷1番
地理地殻活動研究センター  地殻変動研究室長  宗包 浩志    (029-864-6925)
測地観測センター      地震調査官     黒石 裕樹    (029-864-4825)
測地観測センター      地殻監視課長    仲井 博之    (029-864-5971)
                               FAX 029-864-8381

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