火山斜面地の地形変化に関する研究

研究課題事後評価書

(分科会で評価委員が記入)
提案課・室名
問合せ先
課・室名:地理地殻活動研究センター地理情報解析研究室
TEL: 029-864-5946   FAX: 029-864-2655
代表担当者:地理情報解析研究室 佐藤 浩・長谷川裕之
研究課題名 火山斜面地の地形変化に関する研究
予算 特別研究 16,475千円 (3年間の総額)
研究期間 平成13年4月 ~ 平成16年3月 (3年間)
分科会委員 〇細村 宰、厳 網林、小口 高
1. 成果の概要 航空レーザ測量により計測した数値地形モデル(DEM)を用いて、火山活動時に生じた新たな火山斜面地の変化過程を定量的に検証できた。本研究は日本の地学的特色と高度な測量技術を踏まえている点で、国際的に見て重要な内容であり、得られた知見も現段階では十分なものである。
2. 当初目標の達成度 予定どおりに研究を実施し、解釈可能な結果を出していることから当初目標は概ね達成(90%以上)できたとみなせる。ただ、開析過程の分析の際には、同一地形分類内での場所による侵食量の差異も考慮に入れた方がよい。
3. 成果公表状況 「地形」「Bulletin of Volcanology」といった国内外の権威ある学術誌に成果が公表(または投稿)されている点や、学術集会で多数の発表を行っている点で、高く評価される。
4. 成果活用の見込み リモートセンシングによる地形測量という面では、類似の検討を行う際に、今回の成果が活用可能と思われる。侵食評価の点では、今回得られた知見のみでは、現実的な評価が困難かもしれないため、今後も同様の研究が継続され、より応用的な成果を生み出すことが望まれる。一方、研究地域で作成されたデータは、同地域を対象とした継続研究に有益な資料となっている。
5. 達成度の分析 基礎的知見や今後の研究の方向性を得たという点で、今回の達成度は十分といえる。
6. 残された課題と新たな研究開発の方向 雲仙岳の侵食様式は、水系網があまり広がっていないという点で、日本の中でも特殊かもしれない。火山噴火後に水系網が広がった事例(例えば1970年代の有珠山の噴火)との比較検討も必要と思われる。また、火山噴火後の地形変化のメカニズムを事前に理解し、それに適した測量データの取得とモニタリング方法の確立が望まれる。
7. その他、課題内容に応じ必要な事項 噴火直後に地形変化が最大という今回の結果から見ても、大規模噴火発生時には今回のような手法を用いて侵食の迅速なアセスメントを行うことが望まれる。
総合評価  〇1.十分な成果  2.一部不満足  3.部分的成果  4.失敗

少ないスタッフで二つの研究地域について研究を実施し、数ある成果公表を行ったことから、本研究の成果を高く評価する。