歴史的地理情報を活用した風土・景観に関する研究

新規研究課題提案書

(課題提案者が記入)
提案課・室名
問い合せ先
課・室名:国土地理院地理地殻活動研究センター地理情報解析研究室
住所:茨城県つくば市北郷1番
TEL: 029-864-1111内線8434    FAX: 029-864-2655
担当者名:地理情報解析研究室 佐藤浩・長谷川裕之・水越博子
研究課題名 歴史的地理情報を活用した風土・景観に関する研究
研究制度名 特別研究
研究期間 平成16年4月~平成19年3月 (3年間)
1.課題分類 地球と国土に関する科学の発展に寄与する研究開発
2.研究開発の背景・必要性  これまでの開発によって、景観や環境が大きく改変され、また、災害の危険が高い場所まで人間活動が展開するようになった。このため、国土の景観・環境保全や防災対策を一層推進していくには、国土の変遷を明らかにした上で、様々な対応をとる必要がある。
 国土地理院が提唱している「電子国土」は、数値化された国土に関する様々な地理情報を位置情報に基づいて統合し、コンピュータ上で再現するサイバー国土であり、国土管理の重要なツールになることが期待されている。そして、歴史的地理情報(具体的には米軍空中写真や迅速図のデータ)を整備して、コンピュータグラフィックス(CG)を使って過去の景観を復元する等、積極的に利用すれば、従来の土木工学・都市計画的な視点に加え、景観・環境保全や防災対策のために地理学的な視点を与えられることになる。つまり、"歴史的電子国土"(過去の状況を記述した電子国土)という、より拡張されたツールの開発が必要である。
3.研究開発の目的・目標 東京・武蔵野台地周辺地区をモデル地区として、
1.歴史的地理情報の計測手法の開発
 1) 米軍空中写真のデジタル情報化手法の開発
 2) デジタル写真測量を用いた米軍空中写真の標定手法の開発
 3) 迅速図の幾何補正方法の開発
2.開発手法の適用例:景観の復元(土木工学、都市計画、地理学のためのツール作りに寄与)
 1) 米軍空中写真と過去の風景写真を組み合わせた高度経済成長期前の景観復元
 2) 迅速図からDEMを作成するとともに、 迅速図と風景画を組み合わせた明治初期の景観復元
 3) 復元した高度経済成長期前、明治初期の景観をCG処理して、Walk through(道からみた景観), Fly through(鳥瞰図による景観)による動画の作成
 4) 現在、高度経済成長期前、明治初期の3時期の景観の比較 5) 景観テクスチャデータベースの試作
4.研究開発の内容 過去から現在にかけての時系列の歴史的地理情報を計測・処理・表現する技術を開発する。すなわち、"歴史的電子国土"ともいうべき、より拡張された国土管理のためのツール開発の第一歩となる基礎技術を開発する。
5.研究開発の方法、実施体制 研究の方法:歴史的地理情報をデジタル処理して計測手法を開発するとともに、地理情報システムやコンピュータ・グラフィックス技術を用いて当時の景観を復元する。 実施体制:地理情報解析研究室主任研究官が、研究官の支援を受けて研究を行う。データ計測や基礎的な情報処理及び主任研究官・研究官のアイデアに基づく試行錯誤的な情報処理は、外部に発注。
6.研究開発の種類 1.基礎研究、2.応用研究
7.現在までの開発段階 2.試行段階
8.想定される成果と活用方針 得られた成果は、"歴史的電子国土"ともいうべき、より拡張された国土管理のためのツール開発に結びつく。また、復元された歴史的景観は、今後の新たな景観評価の基礎資料として活用される。これらにより、今後の美しい国づくりのための各種の企画・立案に貢献する。
9.研究に協力が見込まれる機関名 東京大学大学院工学系研究科
10.関係部局等との調整 CGを使った景観の復元に取り組んだ経験がある国土技術総合研究所と、意見を交換する。
11.備考  

歴史的地理情報を活用した風土・景観に関する研究