「数値等高線データによる水系分類の研究」

新規研究課題提案書

提案課・室名
問合せ先


 
課・室名:地理情報解析研究室
住  所:茨城県つくば市北郷1番
TEL:0298-64-1111・内線8442   FAX:0298-64-2655
担当者名:地理情報解析研究室 水越博子、佐藤浩
研究課題名 数値等高線データによる水系分類の研究
研究制度名 特別研究
研究期間 平成13年4月~平成16年3月
(1)課題分類

(4)地球と国土に関する科学に寄与する研究開発
(2)研究開発の背景・必要性

平成10年度に全国整備が完了した数値地図50mメッシュ標高を作成する際に、中間データとして等高線のベクターデータが作成された(以後、数値等高線データとする)。標高値を格子状に並べたグリッドデータに比べて、同じ標高を持つ点を連ねることにより、地表面の屈曲を表現する数値等高線データはより多くの情報を持つ。グリッドデータは地形変化の差分計算や統計解析には非常に有効であるが、地形の形状を把握する目的には不向きである。
一般研究「数値地形データを用いた山地地域の地形特徴把握の研究」では、数値等高線データからの落水線の抽出と落水線に沿った数値地形計測が試みられ、その有効性が示されたが、等高線の複雑な屈曲のために、水系分類までは完成していない。近年、豪雨による山地崩壊などの災害が増加しているが、谷や尾根が入り組んだ山地での数値地形解析には、50m間隔のグリッドデータでは不十分であるため、数値等高線データによる水系分類の研究は緊急に取り組むべき課題である。
(3) 研究開発の目的・目標

豪雨による災害や谷の浸食の進行を予測するために、数値等高線データを用いて、地形の形状に沿った水系分類を行い、任意の点に対する流域面積とその落差と谷密度、あるいは、落水線に沿った勾配や傾斜方位や谷次数の変化を把握する手法を開発することを目的とする。
(4)研究開発の内容

グリッドデータを用いた落水線の作成では、凹地や平坦な部分で落水線が止まることを防ぐために、データの標高を変化させる手法が用いられるが、本来の数値地形解析としては、できるかぎり元の地形を再現した地形データを作成し、そのデータが表現する地形の形状に忠実な計測を行った上で、解析することが望まれる。
したがって、一般研究「数値地形データを用いた山地地域の地形特徴把握の研究」を発展させ、等高線の複雑な屈曲のために落水線の抽出が困難な部分に水流を誘導する点を発生させる手法を開発することにより、落水線の中断を防ぎ、水系分類を完成させる。また、落水線が収束する性質を利用し、任意の点に対する流域を面的に把握する手法を開発する。
(5)研究開発の方法、実施体制

実施方法: 数値等高線データを用いた水系分類のプログラムを作成し、研究地域を選んで、実際の地形と対応させる。必要に応じて、データ作成、及び、現地調査を実施する。
体制: プログラム作成・データ解析:水越、  データ解釈:水越、佐藤
(6)研究開発の種類

技術開発

(7)現在までの開発段階 研究段階

(8)想定される成果と活用方針

想定される成果:
・数値等高線データを用いた水系分類の手法
・任意の流域について、面積、落差、谷密度、落水線に沿った勾配や傾斜方位や谷次数の変化を把握する手法
活用方針:
・谷密度の大小から谷の発達の進行を把握する目的に活用することができる
・どの谷次数の割合が多いかを調べることで、どの部分で浸食が進んでいるか(崩壊が起きやすいか)を把握する目的に活用することができる・任意の点に対する流域の把握とその流域での地形要素の計算により、豪雨による崩壊の研究に活用することができる

*地表面をできる限り忠実に再現した地形データで落水線を追跡する必要がある。また、地形の浸食は気象条件や地質や植生を反映するため、将来的には、全国的な水系網を整備し、地形環境を分類する目的に使用できる。

(9)研究に協力が見込まれる機関名

筑波大学:一般研究「数値地形データを用いた山地地域の地形特徴把握の研究」は、筑波大学の研究者の協力を得て、行っている。

(10)関係部局等との調整

特になし。

(11) 備考

特になし。

数値等高線データによる