第10回全国児童生徒地図優秀作品展 ごあいさつ(連絡協議会会長)

第10回全国児童生徒地図優秀作品展 ごあいさつ(連絡協議会会長)

懐かしいふるさとの地図作品展

いくら時代が変わっても大事なのは「論より証拠」。大正生まれの私見によれば、全国各地から寄せられた児童・生徒さんたちのすばらしい「地図作品展」こそ、百の教育改革論よりも、生きた学習モデルであり、日本の明るい未来の メッセージであります。

そればかりか各地域における「地図作品展」は、地域住民にとっては、ふだん漠然と見過ごしていた生活環境の全貌や自然と文化事象の特徴に気がついたり、再認識するよすがとなり、自治体の各区部局の担当者にとっては行政サービスの改善にも役立つと言われています。

たとえば、私の地元の多摩市における環境部主催の「身のまわりの環境地図作品展」も十周年になりますが、毎年展示される地図作品は三百点内外、市内各地区にわたりテーマも表現も実に多種多彩。超ご多忙にもかかわらず、市長さんや教育長さんをはじめ、部長さんたちも作品展をじっくりご覧になり、表彰式では受賞者を直接はげまして下さいます。列席の家族の方々も、きっと受験勉強では到底体得できない貴重な学習的意義をよく理解されていると思います。

 

山は青き、水は清き、「ふるさと」の小学唱歌は、高齢者にとっていまなお懐かしいメロディーで、日本の原風景を鮮やかに思いださせてくれます。その後、生活環境も景観も大きく様変わり、世代によって各人の郷土の思い出もまちまちになりましたが、故郷をしのぶ心に変わりはないでしょう。

ふるさとを思い出すよすがとなるのは、幼い日々の通学路やあそび場などの写真や風景画もさることながら、もっと生き生きと蘇らせてくれるのは、自分で考えて歩いて目を輝かしながら調べて、ノートして、丹念に美しく描きあげたマップ、見る人に訴えたい問題や主張や夢を込めた主題図であると思います。

受賞しようとしまいが、各自の地図作品を大事に保存しておかれたら、それらはいつか郷土史にとっても貴重な資料になることでしょう。十年も二十年もそれ以上の昔にこの地図作品展に出品された先輩たちが、どんな職場でどのように活躍されているか、是非知りたいものです。お便りを心待ちにして長生きしたいと願っている次第です。

 

平成19年1月

全国児童生徒地図作品展運営団体等連絡協議会

会長 西川 治

 


 

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