測量・地図ミニ人物伝:吉田初三郎
「測量・地図ミニ人物伝」
吉田初三郎
(1884-1955)
吉田初三郎(よしだはつさぶろう)は、すぐれた鳥瞰図(ちょうかんず)作家として知られています。
彼が描(えが)いた鳥瞰図は、大正から昭和にかけて、1000種にも上るといわれます。その作品は今でも熱烈(ねつれつ)な初三郎フアンを夢中にさせています。
鳥瞰図とは、その字のとおり、大空高く舞い上がった鳥が地球を見たとしたら、こんなふうに見えるだろうというように書かれた、楽しい地図です。
京都に生まれた吉田は、はじめ友禅(ゆうぜん)おりものの図案の職工(しょっこう)をしていました。その後、上京して絵の修行をしていましたが、先生から進められて絵師(えし)の道に進むようにいわれました。
最初に描いた鳥瞰図「京阪電車沿線名所図絵」(大正2年)が、時の皇太子殿下(昭和天皇)の目にとまり、「これはきれいで分かりやすい、ともだちのおみやげとして持ち帰りたい」とほめられたことから、みとめられ、たくさんの鳥瞰図を描きました。
とくに、日本全国の「鉄道旅行案内」に鳥瞰図をえがき、多くの人を知らない土地へ案内しました。
「私は、大正の広重(ひろしげ)だ」といっていた彼の目には、大空を舞う大わしが見たよりも素晴らしい風景が見えていたのでしょう。