新しいGEONET解析ストラテジによる電子基準点日々の座標値(F5解・R5解)の公開
Updating Daily Solution of CORS in Japan Using New GEONET 5th Analysis Strategy
著者
測地観測センター 村松弘規・髙松直史・阿部聡・古屋智秋・加藤知瑛・大野圭太郎
地理地殻活動研究センター 畑中雄樹
測地部 撹上泰亮
企画部 大橋和幸
地理地殻活動研究センター 畑中雄樹
測地部 撹上泰亮
企画部 大橋和幸
要旨
国土地理院では,国家座標の維持や地殻変動の監視を主な目的として,GEONETの定常解析を実施し,全国約1300点の電子基準点の座標を「電子基準点日々の座標値(F3解・R3解)」として公開してきた.この解析ストラテジ(解析の手法や使用するソフトウェア等をまとめた方策の総称)は開発から10年以上経過し,最新のGPS衛星に対応していないことや,準拠する測地基準座標系が古くなるなどの課題が明らかになっていた.そこで,これらの課題を解決するため,解析ストラテジを更新した.新しい解析ストラテジ(第5版)の主な更新点は(1)解析ソフトウェア,(2)準拠測地基準座標系,(3)対流圏遅延推定方法,(4)固定点座標の計算手法の4点であり,特に,(3)対流圏遅延推定方法の更新により上下成分の安定性が向上し,(4)固定点座標の計算手法の更新により,国際的に計算された解析結果と±1 cm程度で整合する解を得ることができるようになった.これらの結果を踏まえ,2021年4月1日より,GEONET定常解析を第5版の解析ストラテジに切り替え,運用を開始した.計算された座標解を「電子基準点日々の座標値(F5解・R5解)」として公開した.