2006年 ムラピ火山基本情報(メラピ火山基本情報)
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掲載日:2006年4月28日
2006年3月から火山活動が活発になり,噴火の恐れあり
ムラピ(メラピ)火山(Merapi volcano)
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位置: インドネシア ジャワ島中央部
座標: 南緯 7.542°, 東経 110.442°= 7°32'30"s ,110°26'30"e
標高: 2911m,2914m,2962m,2968m(資料によって異なる)
参考:SRTM3で計測した山頂位置は,-7°32'24",110°26'48",楕円体高2916m
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ジャワ島中部地震(2006/05/26)震源との位置関係: 震源位置(5/28USGS)は,ムラピ(メラピ)山頂から方位角196°,距離50.0kmに位置する。
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火山のタイプ: 成層火山,活火山,玄武岩-安山岩質
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植生: 頂上部では溶岩ドームの成長により,植生がない。山腹部には森林などの植生がある。
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過去の噴火: 約1万年間噴火を繰り返している。
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最近の噴火: 過去200年間に約50回の噴火があり、最近では、1~5年おきに噴火している。
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前回の噴火: 2001~2002年。1万人以上が避難。
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噴火の形態: 成長する溶岩ドームが壊れ、火砕流とラハール(Lahar:土石流・泥流)が山麓の人々に被害をもたらす。噴火の爆発力は小さい。火砕流は通常山頂から6~7kmまで到達。13kmの例(1969年)もある。火砕流・ラハールは,山頂から南西の山腹を流下することが多い。
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噴火または溶岩流の前兆的現象: 山体膨張,地震数増加,温度変化
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周辺の人口:約30km南に人口約50万人(別の資料では300万人)のジョクジャカルタ(Yogyakarta)市がある。同市はインドネシア、ジャワ島中部の都市で、古くからヒンドゥー‐ジャワ文化の中心地。北西郊外にボロブドゥール遺跡がある。
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山腹の人口: 標高500m以上には32の村があり,258,200人が住んでいる。標高の高い場所の人口は年々増えている。
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テクトニクス: インドオーストラリアプレートがユーラシアプレートの下に沈み込む境界付近に位置している。
ムラピ(メラピ)火山 の観測・監視
- インドネシア火山局が火山活動の監視・研究・防災を管轄。
- 地震計,磁力計,三辺測量,傾斜計,火山ガス分析,ラハール検知による監視
- GPS観測 ドイツの例,フランスの例
用語解説
火砕流(pyroclastic flow):爆発的な噴火で発生したマグマの破片が,気体(空気・火山ガス)と混合して雲状になり,山腹を高速で流下する現象。火砕流は,時速100kmを越える高速にまで達することがある。火砕流には,火口から上昇しかけた噴煙の一部が崩壊して流下するスフリエール型,溶岩ドームの爆発に伴うプレー型,いったん定置した溶岩が崩落する過程で発生するメラピ型がある。火砕流は,高温のまま高速で流下するため,防災上最も警戒すべき現象の1つである。(理化学辞典から抜粋)
ラハール(lahar):水を含んだ火山噴出物が斜面を流下する現象で、土石流、泥流、洪水の総称。国際的に通用するインドネシア語。火山活動に伴うもの(一次災害)をいうこともあるが、降雨、融雪、地震他の火山活動以外による(二次災害)をいうことも多い。
関連情報・リンク
- インドネシア火山局によるムラピ火山情報
- ムラピワークショップ2006(2006/09/04-06,ジョクジャカルタ)
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