宮城県沖想定震源域におけるプレート間カップリングの時間変化推定に関する研究
研究課題事後評価書
提案課・室名 |
課・室名:地理地殻活動研究センター地殻変動研究室 |
研究課題名 |
宮城県沖想定震源域におけるプレート間カップリングの時間変化推定に関する研究 |
予算 |
特別研究経費 10,000千円 |
研究期間 |
平成14年4月 ~ 平成15年4月 (1年間) |
分科会委員 |
〇河野宣之、笠原 稔、山岡耕春 |
1.成果の概要 |
「宮城県沖のカップリング」解明という点では、本研究の解析結果と他の成果との比較が不十分であるなど、今後進めるべき課題が多く残されていると思われる。例えばプレート間カップリングを生じている領域の広さ、物性パラメーターなどを変えた時、各観測量と計算値を比較するなど、開発したソフトの有用性・有効性の評価が必要である。しかしながら1年間の研究期間で、半無限連続媒質から、より現実的なモデルに移行できる基礎を作り上げた点は評価できる。 |
2.当初目標の達成度 |
「過去から現在までの解析を行い、宮城県沖地震の様相を解明し、現在の状態を把握する」点については目標設定が高すぎたと思われる。 |
3.成果公表状況 |
発表論文は、本研究と関連していることは認めるものの、直接の関連性が薄いように見える。 |
4.成果活用の見 込み |
直接的に防災に役立つかどうかが明確になっていない。従来の半無限均質弾性体モデルとの違いを明確にし、粘弾性・重力・不均質を取り入れたモデルが必要であるかどうかを検証するべきである。半無限均質弾性体モデルで十分であるという結論が出れば、それはそれで災害軽減に役立つ。 |
5.達成度の分析 |
粘弾性・重力・不均質を取り入れたモデルを用いることは、今後データの高精度化が進んでいくと、ある段階で必ず必要になる。本研究は、このような今後の重要な研究を進めるうえで基本となるものであり、今後の一層の進展を期待すべきである。 |
6.残された課題と新たな研究開発の方向 |
従来の半無限均質弾性体モデルとの比較をきちんと行うべきだろう。その際に地震学的手法から得られているカップリング領域との比較を行い、プレート間カップリングの時間変化予測手法として粘弾性・重力・不均質を取り入れたモデルの有効性を議論すべきであろう。 |
7.その他、課題内容に応じ必要な事項 |
特になし。 |
総合評価 1.十分な成果 2.一部不満足 〇3.部分的成果 4.失敗 宮城県沖震源域に限らず、時間変化推定の高精度化は研究、防災の両面で緊急且つ重要であり、種々の研究が手懸けられているが、未だ完成には遠い状況である。本研究はこのような容易ならざる課題に挑戦したものである。本研究で開発したソフトウエアで得られた成果と他の成果との比較を行い、その有用性・有効性を詳細に評価すべきである。表題の「宮城県沖地震」の研究にまではまだ至っていないと考える。研究期間が1年なので、これは研究が不十分だったというよりは、研究目標の設定が高すぎたというべきである。 |