第27回全国児童生徒地図優秀作品展 挨拶(連絡協議会長)

第27回全国児童生徒地図優秀作品展 挨拶(連絡協議会長)

地図の作り手を育てる地図作品展 ―地図を通した社会参画―

 全国各地で子どもたちによる地図づくりの活動が行われています。学校ではまち探検や身近な地域の調査などの成果を地図にまとめる学習活動があり、夏休みの課題の一つに地図づくりを掲げる学校も少なくありません。また、地図を使った取り組みは生涯学習でも行われています。防災や防犯活動などでは以前から使われていますし、まちづくりや地域活性化の取り組みでも地域の課題をわかりやすく表現する方法として地図づくりが有効であるとの認識が進み、地域の人たちなどが中心となって地図を利用したワークショップが行われるようになってきました。

 子どもたちは学校教育のなかで地図を学習します。自分の暮らす地域の地図づくりは、地域をよく知る機会になるだけではなく、子どもなりに気づく地域の課題や将来のあり方を、地図を通じて自分以外の誰かに伝える活動になります。そのとき、地図づくりは学校の中だけでは終わらず、地域とつながるものになっていきます。

 子どもがつくる地図は、時に社会の抱える課題を鋭く捉え、大人では思いも付かないような斬新なアイディアに満ち溢れています。地図づくりはどのような題材でも取り上げることのできるとても自由な表現手段です。地図づくりを通じて地域を調べて表現することは、子どもたちが将来の地域づくりに参画する取り組みともいえます。

 全国児童生徒地図作品展連絡協議会は、子どもたちによる地図に関する作品展を全国各地で運営する団体の集まりです。加盟する団体によって毎年特色ある作品展(個別展)が開催されるとともに、それぞれの優秀作品を一堂に集めた「全国児童生徒地図優秀作品展」(全国展)を開催してきました。全国展については、国土地理院「地図と測量の科学館」、「国土交通省本省」および「科学技術館」という関東地方での会場展示とともに、2020年からは関西の「NHK大阪放送会館アトリウム」でも作品展を開催しています。

 作品そのものは今年度も優れた地図が集まりました。子どもの視点から地図表現を工夫した防災の立体地図や、地域にある畑を詳細に調査して作物に関する地図記号を提案した地図、少子化といった社会課題を地図から検討されたものなど、興味深い作品が出展されています。いずれも地図を使って何らかの地域の課題を乗り越えようとした作品です。

 今年度もホームページにて、全国展で展示した全作品を公開します。画像を拡大することができますので、地図表現の工夫、動機や考察の説明文などの詳細もぜひご覧ください。地図を通して、作品制作に取り組んだ子どもたちとの心の対話を楽しんでいただけましたら幸いです。

 令和6年3月
  全国児童生徒地図作品展連絡協議会
    会長   大西宏治