第13回全国児童生徒地図優秀作品展ごあいさつ(連絡協議会会長)
第13回全国児童生徒地図優秀作品展ごあいさつ(連絡協議会会長)
“地図づくり”を通して(全国児童生徒地図作品展連絡協議会会長)
「全部、自分でつくりました。」
今年度、当館で実施した第15回児童生徒地図作品展で入賞した中学3年生のAさんが、展示してある自分の作品(204×142cm)の前で誇らしげに話してくれました。
傍らにみえる保護者の方も、微笑みながら次のように話してくださいました。
「この子は、小学3年生から出品をはじめて、今年で7年間地図づくりを続けました。小学校の頃は、アドバイスをしたり手伝ったりしたことはありましたが、今ではなにも手伝っていません。この子一人でテーマを決めて、情報を集めたり分析したり、構成を考えたりしながら作っているんですよ。」
目の前にある大きな地図作品の素晴らしさから、地図作品展への継続した取り組みを通して、Aさんが確かな力をつけてきたことが分かりました。
ところで、“地図づくり”を通して、児童生徒にはどんな力が育つのでしょうか。
地図づくりの魅力は、なんといっても「各自がテーマを自由に設定できること」「個性的な調査・分析・表現ができること」でしょう。
この魅力いっぱいの活動(テーマをもつ・調べる・発見する・メモする・まとめる・描く…)を通して、例えば、自然や社会をもっと身近に感じ、具体的に捉えることができる観察力が身につきます。また、調べたことを相手に分かるように工夫しながら表す思考・判断力や表現力が身につきます。そして、ものの見方や考え方が育ち、確かな社会認識を培うことになるのです。
このように地図づくりは、様々な力を育む学習活動です。自分の思いを適切に伝えることができ、見る人の心を惹きつける地図づくりを、これからも多くの児童生徒に続けてほしいと願っています。
第13回を迎えた「全国児童生徒地図優秀作品展」に集まった作品は、先に紹介したAさんのように、“世界にひとつだけ”のどれも素晴らしい地図作品ばかりでした。一人一人の思いや苦心したことが、見る側にもちゃんと伝わってきたからです。
最後になりましたが、本作品展のために、ご理解とご協力をいただきました関係者の皆様に、厚くお礼申し上げます。
平成22年2月
全国児童生徒地図作品展連絡協議会
会長 田宮 仁史