写真展コンテスト審査結果

写真展コンテスト審査結果について

1.作品の募集テーマ
測る人・描く人・守る人の魅力や使う人の楽しさを伝える

2.応募者及び応募作品数
応募者数44人から作品184点の応募がありました。
作品の募集は2019年3月1日から6月30までの4ヶ月実施しました。

3.事前審査について
近代測量150年記念事業推進会議、各参加団体から推薦を受けた15名による事前審査を行い、応募作品184点の中から33点を選定し、本審査作品としました。

4.本審査について
金賞・銀賞・銅賞の選定については、7月30日に国土交通省建設専門紙記者会所属の岩本英司様、脇坂章博様と筑波研究学園都市記者会所属の有島 康様、永井なずな様の4名により審査がされました。
奨励賞の9点の選定については、8月9日に近代測量150年記念事業推進会議の構成団体の長又は各団体の長から推薦を受けた9名により審査がされました。

5.入賞者について
金賞 相馬達也(ソウマ タツヤ)様
銀賞 加藤 力(カトウ チカラ)様
銅賞 大關幸太(オオゼキ コウタ)様
奨励賞 國分友彦様、青木拓也様、安田賢二郎様、飯村友三郎様、板橋昭房様、西津和也様、海老名頼利様、白戸丈太郎様、大和田美空様(順不同)

6.入賞作品の展示について
新宿区立新宿歴史博物館(東京都新宿区四谷三栄町12-16)で、2019年9月22日から12月8日まで写真展として展示をしています。

入賞作品の紹介

金賞

測量の春
氏名:相馬 達也(ソウマ タツヤ)
在地:埼玉県朝霞市在住
写真説明:春の荒川沿いを散歩していたところ、測量の道具を持った若者が 大勢やってきて作業を始めました。楽しそうな雰囲気に惹かれ、思わずシャッターを切りました。研修の一環なのでしょうか? 緑の新芽とフレッシュな若者をかさねあわせ、測量の未来に幸あれ! という思いを込めました。

写真展コンテスト審査結果(金賞)画像

選定の理由
河川敷の緑をバックに立ち並ぶ赤、青、白の鮮やかな色の棒。何をしているのだろうか?と思わせる少し不思議な光景がかえって目を惹きつけました。春のよく晴れた日の明るい色合いも相まって、測量を将来の仕事とするために学び始めた若い人たちの、にぎやかで楽しそうな実習の様子が写真から感じられます。
タイトルの「測量の春」も良いと思います。四季とともにある仕事の最初の一歩。測量を学ぶ今は名実ともに穏やかな春の中ですが、測量士として仕事を始めれば、夏の酷暑や冬の厳寒など厳しい自然環境の中で作業をすることになります。そんな若者たちを温かな目で見つめシャッターを切った作者の様子が目に浮かびます。私も彼らの未来にエールを送りたくなりました。

銀賞

雪解けの河川測量
氏名:加藤 力(カトウ チカラ)
在地:秋田県秋田市在住
写真説明:雪深い北秋田地区において、3月下旬に河川測量を実施したときの写真で す。この日はやっと春らしい日差しになり、雪解け時期ですがまだ増水していない状況でした。また、水温はかなり冷たく苦労しましたが水の流れは穏やかで無事作業を終了しました。

写真展コンテスト審査結果(銀賞)画像

選定理由
測量士が過酷な自然環境のもとで作業に当たっていることが伝わってくる写真だ。日本の昔ながらの里山風景に2人がうまく溶け込んでおり、自然と測量の関わり、さらには自然と人の結びつきまで感じさせてくれる。白く積もった雪と静かな川の流れが美しい光景だが、測量士にとってはこごえるような作業環境に違いない。冷たい外気が感じられる上、川のせせらぎも聞こえてきそうな臨場感のある写真だと感じる。人が水に浸かり河川の中までくまなく測量しているということを、この写真を通して知ることができた。道路上など比較的安全な地点だけでなく、山間部や川といった時には危険を伴うような場所まで測量が行われていることで、私たちは正確な地理情報を享受できている。写真を目にした人に、その事実を気づかせてくれる1枚だ。

銅賞

地震、豪雨などの災害により被災した地域を迅速に復旧するための測量
氏名:大關 幸太(オオゼキ コウタ)
在地:熊本県熊本市在住
写真説明:この写真は平成28年、熊本地震により被災した道路の調査測量の写真。1日でも早い復興を目指して作業を行っている様子です。

写真展コンテスト審査結果(銅賞)画像

選定理由
「測量」には、国土を測る、国土を描く、国土を守る、国土を伝える―という四つの社会的「使命」があるとされている。この写真は、不幸にして地震に見舞われた後、早期復旧・復興に向けて被災状況を確認するために測量している際の様子だと見受けられるが、何かを創り出すときだけではなく、地域住民の穏やかな日常を取り戻すための一歩もまた、「測量」から始まるのだということを教えてくれる1枚でもある。言い換えれば、測量という行為は、国民の生命と財産、そして「安寧」を守るためのものでもある―ということに気づかせてくれる写真であり、大規模災害の発生が続き、しかも激甚化する傾向を見せるいま、測量に関わる全ての人の貢献に対する「感謝の思い」を新たにした、そんな1枚の写真となった。

奨励賞 9作品

大自然と闘う
氏名:國分 友彦(コクブン トモヒコ)
在地:山形県尾花沢市在住
写真説明:圧倒的スケールの大自然と砂防堰堤を相手に作業を行う技術者です。

写真展コンテスト審査結果(奨励賞1)画像

選定理由
複数のプレートの活動や気象変動の影響で自然災害が多発しています。測量は地震災害、風水害、土砂災害等から生命と財産を守るために多種多様な防災・減災対策の一翼を担い、被災後は復旧・復興のための最初の事業として大きな役割を果たしています。
この写真は、自然の中に埋没している土砂災害の因子を探り出し、対策を行うための調査と測量を行い、大自然と格闘している測量技術者の姿を映している貴重な1枚です。

こまちとの共演
氏名:青木 拓也(アオキ タクヤ)
在地:山形県東根市在住
写真説明:この写真は、秋田県仙北市を流れる生保内川の河川測量をしている写真になります。12月という事もあり、雪が積もり、とても寒い中での測量でした。作業状況を撮影しようと、カメラのシャッターを切ったところに、秋田新幹線「こまち」が通り、偶然を捉えたツーショット写真になりました。

写真展コンテスト審査結果(奨励賞2)画像

選定理由
冬の寒い時期、雪の合間を縫って観測をする測量士の後ろ姿と、新幹線こまちが通過する瞬間を捉えた写真。この写真を見て、雪の中で測量をする環境の厳しさを現している反面、新幹線こまちが橋を通過する場面に出会うなど、感動する風景やその時々に出会う楽しさ、心のトキめきを感じさせる一枚であり、測る人の魅力の一つと感じるものです。

未来の測量士を育成中!
氏名:安田 賢二郎(ヤスダ ケンジロウ)
在地:大分県大分市在住
写真説明:土木工事には、測量は欠かすことが出来ない作業のひとつであり橋梁や道路などあらゆる分野で活躍できます。
測量にもどのような資格を取得しなければならないか、また実際に測量機器を使ってもらい測量の楽しさを実感してもらいたく「親子現場見学会」を開催しました。そのような気持ちで撮影した1枚です。

写真展コンテスト審査結果(奨励賞3)画像

選定理由
子どもたちの目には未来が見えているのでしょうか。私たちの暮らしを支える測量や地図の役割を、子どもたちが体験を通して学んでいく姿、それを後ろから見ている保護者の姿も捉えることができています。心温まる良い写真だと感じました。

氷上の基準点測量
氏名:飯村 友三郎(イイムラ ユウザブロウ)
在地:茨城県つくば市在住
写真説明:南極昭和基地の西方670kmにあるセールロンダーネ山地での基準点測量です。
1988年頃はGPSが実用化されておらず、測距、測角による基準点測量です。
大陸の斜面を下る強風と寒さのなかでの測量ですが、澄み切った青い空、氷と雪で覆われた白い大地のコントラストが印象的できれいです。

写真展コンテスト審査結果(奨励賞4)画像

選定理由
南極では、世界各国が共同で観測や研究を進めています。そこでも正確な地図が必要になりますので、このように測量が行われます。この写真は、背後の雪上車に「日本南極地域観測隊」の表示があり、また、周囲には現地で寝泊まりするための設備が見られることから、厳しい環境下で我が国が測量に取り組んでいる様子がよく分かる点を評価して選定しました。

基準点測量(実習)
氏名:板橋 昭房(イタバシ アキフサ)
在地:茨城県つくば市在住
写真説明:建設大学校 昭和48年度普通課程測量科研修
基準点測量(四等三角測量・沼津地区)実習

写真展コンテスト審査結果(奨励賞5)画像

選定理由
三角点にやぐら(一時標識)が設置されていることから、基準点測量の観測中であると思われます。GPSが利用できなかった時代は視通確保のため樹木の伐採、機材の温度上昇を防ぐための上部覆いなど、観測には大変な労力と手間を必要としていました。また、以前に設置されたであろう対空標識も確認できます。この写真は当時の基準点測量の方法を良く示していて、改めて基本に立ち返るうえで貴重です。こうした意味で奨励賞に相応しいと考えます。

見つめる
氏名:西津 和也(サイツ カズナリ)
在地:佐賀県佐賀市在住
写真説明:高校での測量実習の一コマ、観測する子は、測点を、同級生は彼女をそして、指導者は笑顔で何を見つめているの

写真展コンテスト審査結果(奨励賞6)画像

選定理由
トータルステーションを覗く真剣な眼差し。これにつきます。
若い測量士の卵達が、今後活躍されることを期待します。

精密測地網一次基準点測量
氏名:海老名 頼利(エビナ ヨリトシ)
在地:茨城県つくば市在住
写真説明:鹿野山には一等三角点があります。そこには鉄骨製の測量の櫓が建っているのですが、周囲の樹木が成長し観測する相手の山が見えなくなってしまい、見える場所に木製の櫓を建てて観測しました。明治から行われた三角測量は、光波測距儀による辺長測量に代わり、気象 の安定している日没前後2時間が勝負です。国土地理院が行う基本測量の中でも、この測量は日本の骨格となる測量で あり、とてもやりがいのある仕事でした。測量に使用した器械は「ジオジメータ8型」(スウェーデン製)といい、1968年に導入され、主力機器として1980年代まで活躍しました。赤いレーザー光線を発射し、相手の反射鏡に当て、なんと60kmの距離を測ることができるのです。

写真展コンテスト審査結果(奨励賞7)画像

選定理由
1970~80年代、レーザ光で点間の距離を測る三辺測量が、従来の三角測量に代わって主流となった。この写真は、大気が比較的安定する夜間に山上で観測に従事する技術者たちと光波測距儀が発する赤いレーザ光とを捉えており、当時の基準点測量技術とその現場を伝える画像である。1990年頃からGNSS技術が導入され、やがて電子基準点の時代となったが、レーザ測距の原理は航空レーザ測量に受け継がれている。

一等三角点低下改埋
氏名:白戸 丈太郎(シラト ジョウタロウ)
在地:神奈川県川崎市在住
写真説明:本作品は秋田県の一等三角点「駒ヶ岳」において、精密測地網一次基準点測量(盛岡地区)での改埋作業の写真になります。今から30年前の写真ですが、盤石を見る機会はほとんどないので貴重な経験でした。

写真展コンテスト審査結果(奨励賞8)画像

選定理由
全体的なバランスが良く、山頂のイメージが伝わってきた。また、地上部分だけではなく、普段目にすることのない地中部分の柱石を見ることができたのが良かった。(下方盤石が見えれば、なお良かったと思う。)

はじめてのそくりょうたいけん
氏名:大和田 美空(オオワダ ミク)
在地:茨城県水戸市在住
写真説明:河和田小学校で測量体験学習を実施した時の写真。
歩測や目測・測量機器等に触れ、目を輝かせる子供たちと、そんな可愛い子供たちにデレデレになる社員さんたちの様子。

写真展コンテスト審査結果(奨励賞9)画像

選定理由
広い校庭の中、子供たちの真剣な眼差しが感じられる。教える人も真剣だ!