令和4年度地理空間情報の活用推進に関する北陸地方産学官連絡会議「石川県分科会」を開催

令和4年度地理空間情報の活用推進に関する北陸地方産学官連絡会議「石川県分科会」を開催

令和4年度「地理空間情報の活用推進に関する北陸地方産学官連絡会議『石川県分科会』」(以下「分科会」という。)を12月2日(金)にWeb会議形式で開催し、構成員、講演者及び石川県内自治体の方を含め、21名が出席しました。

会議概要

 分科会は金沢工業大学の鹿田教授が座長として議事を進行し、地理院地図をはじめとする地理空間情報の活用や石川県内で行われている先進的な取り組みについての講演と、主に3D地図データに関して意見交換が行われました。

1.講演

(1)「地理院地図」の最新の開発状況
講演者:国土地理院 地理空間情報部 情報普及課 竹崎 宗一郎
概要:ウェブ地図「地理院地図」の最近の状況、最適化ベクトルタイルと今後の取組内容、高精度標高データ閲覧サイトについて

(2)学校教育における位置情報型ARの活用
講演者:金沢大学 名誉教授 伊藤 悟
概要:小中学生対象としたAR活用の試みと高等学校におけるARとGIS併用の試みについて

(3)空の産業集積を目指して~3D地図データ整備を通して~
講演者:加賀市 政策戦略部スマートシティ課 主査 中村 聡
概要:空飛ぶクルマの社会実装に向けた加賀市の取組について、背景課題とその解決策としての高精度3D地図データ整備及びAI管制プラットフォームを活用した実証事業の一部を紹介

敬称略

2.意見交換等

点群データを提供予定なのはありがたいが、標高データの提供方法がメッシュデータとは違った仕様になった場合、大学の先生方で、混乱やデータの使い勝手が悪くなる等の想定はあるか?  
(学委員A):メッシュデータとは違った形式での提供となれば、使用の際は既存方法とは別のやり方を採用する必要がある。ただ、使用にあたってはソフトウェアに依存しているので、データの仕様に対応したソフトウェアが出てくれば、それを使うという想定をしている。
(学委員B):点群データは点群データで別の使い道もあるので、それほど気にしていない。必要ならば点群データからメッシュ形式にデータ変換すればよいと考えている。
ドローンの実証実験では、3D地図データを作成する以上に、LTE通信ができるかどうかが重要であるが、加賀市の実証実験はLTE通信が途切れない地域で実施したということか?  
(加賀市:中村氏):LTE通信が可能でないと、ドローンとの通信ができないということで、LTE通信が可能な地域で実証実験を行った。本来は隔絶された地域(例えば山間地)でドローン物流などが実施できることが最適。例えばスターリンクなどの通信手段を視野に入れながら考えていきたい。
3DマップをドローンのAI管制で利用しているということだが、3Dマップや点群データで他の活用方法があれば教えてほしい。 
(加賀市:中村氏):まだ実装には至ってはいないが、災害前後のデータ差分によって災害状況の把握に使えるのではないかと考えている。また、国土交通省での太陽光発電のポテンシャル調査用に建物屋根のデータを提供した。
高校の授業でのARの活用による、高校生への意識付けはどういったものを想定されているのか?
(金沢大学:伊藤氏):地図やGISでは平面的な思考にとどまってしまうので、現場に出て地理の面白さ等を感じてほしいといった点からARに目を付けた。高校では地理総合でGISも使うこととなるが、本格的なGISとなると難しくなるので、GISの替わりとなりうるであろう位置情報型ARを使うことに意義があると考えている。