人工衛星レーダー画像分析による災害全体像の把握

宇宙測地研究室主任研究官  飛田幹男

国内外で発生する大地震等による大規模災害時に、被害状況の全体像を把握し提供できれば、より適切な災害対応を行うことが可能となる。早期に全体像が把握されれば、救助にも貢献可能である。

国土地理院では、SARの分析技術に関して技術開発を行っており、スマトラ沖地震やパキスタン北部地震では、地震を発生させた断層運動の分布を独自の方法で把握してきたが、その過程で、SAR画像は予想以上に災害の全体像を把握するのに適していることが明らかになってきた。2006年1月に打ち上げられたALOSには、Cバンドに比べて適用範囲が広い、日本独自のLバンドSARセンサー(PALSAR)が搭載され、国内外の大規模災害発生時に国際的にも有用な情報を把握することが期待されている。

本発表では、衛星レーダー画像分析による災害全体像の把握の事例のほか、ALOS衛星のデータを活用して、どのような先駆的取り組みが可能であるか紹介する。