基盤地図情報とは

基盤地図情報について

基盤地図情報とは

 現在、様々な地理空間情報は、国や地方公共団体、民間事業者等の様々な関係者によって、それぞれの目的に応じて整備されています。こうした地理空間情報は、それぞれが一定の精度を確保しているものの、その精度の範囲の中ではズレが生じます。このため、様々な地理空間情報を重ね合わせて利用しようとしても、微妙にズレてしまいます。 例えば、ある行政機関において道路管理部門が整備した道路形状の情報と、税務部門が整備した建物形状の情報を重ね合わせると、道路上に建物が飛び出してしまったりして、うまく利用することができないことがあります。また、隣り合う2つの地域の地理空間情報をつなぎ合わせようとしても、微妙に接合しないこと も生じます。
複数の地理空間情報を重ね合わせたイメージ
左は複数の地理空間情報を重ね合わせたイメージ図です。
それぞれの地理空間情報は一定の精度を有していても、重ね合わせると、”ピタッ”と一致するわけにはいきません。
この場合、2つの地理空間情報の間で調整(調製)を行う必要があり、効率的に利用することが難しくなります。

 こうしたことを防ぐためには、地理空間情報を整備する際に、皆が共通の位置の基準を用いることが必要です。「基盤地図情報」とは、電子地図における位置の基準となる情報のことです。基盤地図情報と位置が同じ地理空間情報を、国や地方公共団体、民間事業者等の様々な関係者が整備することにより、それぞれの地理空間情報を正しくつなぎ合わせたり、重ね合わせたりすることができるようになります。この結果、地理空間情報をより一層効率的に、高度に利用することが可能となります。

基盤地図情報の整備

 基盤地図情報は、平成19年に成立した地理空間情報活用推進基本法で規定され、整備が始められました。現在は国土地理院が中心となって整備を進めています。 整備された基盤地図情報は、インターネットにより無償で提供されています。これを全ての関係者が位置の基準として利用することにより、国内の地理空間情報が同じ位置の基準をもった情報として整備され、重ね合わせなど高度利用を円滑に実施することが可能となります。
地理空間情報活用推進基本法(平成19年5月30日法律第63号)
(定義)
第二条  (略)
 この法律において「基盤地図情報」 とは、地理空間情報のうち、電子地図上における地理空間情報の位置を定めるための基準となる測量の基準点、海岸線、公共施設の境界線、行政区画その他の国 土交通省令で定めるものの位置情報(国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)であって電磁的方式により記録されたものをいう。
(基盤地図情報の整備等)
第十六条  国は、基盤地図情報の共用を推進することにより地理情報システムの普及を図るため、基盤地図情報の整備に係る技術上の基準を定めるものとする。
 国及び地方公共団体は、前項の目的を達成するため、同項の技術上の基準に適合した基盤地図情報の整備及び適時の更新その他の必要な施策を講ずるものとする。
(地図関連業務における基盤地図情報の相互活用)
第十七条  国及び地方公共団体は、都市計画、公共施設の管理、農地、森林等の管理、地籍調査、不動産登記、税務、統計その他のその遂行に地図の利用が必要な行政の各分野における事務又は事業を実施するため地図を作成する場合には、当該地図の対象となる区域について既に整備された基盤地図情報の相互の活用に努めるものとする。
(基盤地図情報等の円滑な流通等)
第十八条  国及び地方公共団体は、基盤地図情報等が社会全体において利用されることが地理空間情報の高度な活用に資することにかんがみ、基盤地図情報の積極的な提供、統計情報、測量に係る画像情報等の電磁的方式による整備及びその提供その他の地理空間情報の円滑な流通に必要な施策を講ずるものとする。
 国は、その保有する基盤地図情報等を原則としてインターネットを利用して無償で提供するものとする。

基盤地図情報の項目、満たすべき基準

 基盤地図情報の整備項目や満たすべき基準については、基本法で規定されているように、国土交通省令として別途定められています。(地理空間情報活用推進基本法第2条第3項の基盤地図情報に係る項目及び基盤地図情報が満たすべき基準に関する省令(平成19年8月29日、国土交通省令第78号)
 現在、基盤地図情報の項目としては、以下の13項目が定められています。
  1. 測量の基準点
  2. 海岸線
  3. 公共施設の境界線(道路区域界)
  4. 公共施設の境界線(河川区域界)
  5. 行政区画の境界線及び代表点
  6. 道路縁
  7. 河川堤防の表法肩の法線
  8. 軌道の中心線
  9. 標高点
  10. 水涯線
  11. 建築物の外周線
  12. 市町村の町若しくは字の境界線及び代表点
  13. 街区の境界線及び代表点

基盤地図情報項目のイラスト
また、基盤地図情報が満たすべき基準としては、以下のようなことが定められています。
(1)基盤地図情報は、次のいずれかの測量の成果であることが必要です。
  • 測量法(昭和24年法律第188号)第4条に規定する基本測量
  • 測量法第5条に規定する公共測量(ただし、その成果について、測量法第41条第2項の規定により国土地理院の長が充分な精度を有すると認めたものに限る。)
  • 水路業務法 (昭和25年法律第102号)第9条第1項に規定する政令で定める測量の基準に従って行われた水路測量
こうした測量に該当し、基盤地図情報項目が含まれる代表的な測量成果には以下のようなものがあります。
1/2500都市計画基図 1/25000地形図
  • 都市計画基図
  • 道路台帳図
  • 基準点成果表
  • 1/25000地形図
  • 水路測量標記事
  • 河川基盤地図
(2)基盤地図情報は、次の精度が必要です。
  都市計画区域内 都市計画区域外
平面位置の誤差 2.5メートル以内 25メートル以内
高さの誤差 1.0メートル以内 5.0メートル以内

基盤地図情報の整備に係る技術上の基準

 この他、基盤地図情報の整備に当たっての技術上の基準が、地理空間情報活用推進基本法第16条第1項の規定に基づき、国土交通省告示として定められています。地理空間情報活用推進基本法第16条第1項の規定に基づく地理空間情報活用推進基本法第2条第3項の基盤地図情報の整備に係る技術上の基準の告示(国土交通省告示第1144号)(PDF形式:80KB)
 この中では、既存の基盤地図情報を利用した基盤地図情報整備の方法や基準、複数の地理空間情報を用いて基盤地図情報を整備する際の整備基準、基盤地図情報のデータ形式等の適合すべき規格について定められています。
 基盤地図情報の整備・更新に当たっては、基本的には、既に整備されている基盤地図情報の位置を位置の基準として、その他の地理空間情報の調整を行った上で、これを活用して整備・更新を行います。ただし、既存の基盤地図情報より精度が高く、新しい地理空間情報が整備された場合には、当該情報を基準として基盤地図情報を整備・更新することになります。こうすることにより、基盤地図情報の精度と鮮度を高めていくことが可能となります。
既存の基盤地図情報の利用基準の運用例シームレスな基盤地図情報の整備の運用例
 また、基盤地図情報を提供しようとする場合の適合すべき規格については、JISX7100シリーズの各規格やISO(国際標準化機構)19100シリーズ の各規格(地理情報に関する国内・国際標準)に準拠していることが必要です。提供に当たってのデータ形式についても、こうした標準規格に準拠していることが必要であり、現在は、JIS X7136(地理マーク付け言語)の規定に基づいて整備されるXML形式のデータで情報整備・提供が行われています。
 基盤地図情報の整備に係る技術上の基準の詳細については、国土交通省告示本体(PDF形式:80KB)をご覧下さい。

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