国土地理院時報(1996,87集)目次
LSC法による水準測量と重力ジオイドの統合
Integration of Gravimetric Geoid and GPS/Leveling Survey by Least Square Collocation
Geodetic Department Jiro KURODA, Yoshiyuki TAKABATAKE, Masayoshi MATSUSHIMA
京都大学大学院理学研究科 福田洋一
Department of Geophysics, Graduate School of Science, Kyoto University Yoichi FUKUDA
要旨
GPS観測点は,一等水準路線網(20,000km)の約20km間隔の水準点とし,その総点数は約900点に及んだ。
GPS観測点の三次元座標の決定には,IGS(国際GPS観測網)により平均された電子基準点を使用した。
観測されたジオイド高により,これまでの重力ジオイド(JGEOID93)との差異とその特徴をつかみ,LSC法(最小二乗コロケーション法)により重力ジオイドに補正を加え,新しいジオイドを決定した。
本文[PDF:304KB]
全国に設置した地球電磁気連続観測装置
The Continuous Observation Equipment of Geomagnetism Installed in the Whole Country
Geodetic Department Tadashi TANABE
要旨
この装置は地磁気4成分(全磁力,水平分力,鉛直分力,偏角)の常時連続観測を無人で行う磁気変化観測部(全国11箇所)とデータ収集・監視を行う中央管理装置(つくば市)で構成される。磁気変化観測部で得られたデータは中央管理装置で収集され,全国を対象とした地磁気変化の監視を行う。
また,同連続観測装置で得られたデータは,我が国における地磁気観測の参照用データとして利用が期待される。
本文[PDF:829KB]
新しい日本重力基準網の構築
Establishment of New Japan Gravity Standardization Net
Geodetic Department
要旨
本文[PDF:564KB]
渡海水準測量の方法と観測回数
The Method and Number of Observation in Crossing River(or Sea)Leveling
Geodetic Department Tomoo TOYODA
要旨
しかし,この方法では観測時間が長くなるため同時性が薄れ、 特に観測距離が長い場合は,光路上の大気の違い(時間的)が観測精度に直結する。
また,午後の観測ができない気象条件となった場合は、1日の観測をすべて抹消することになり作業効率上の無駄が発生する。
対岸との同時観測を行っているのであれば、1セットを1対回の観測として観測時間を短くすることは、 観測の同時性からみた精度確保と有効な作業効率に必要な事柄といえる。
本文[PDF:795KB]
断層運動の非線形最小二乗法に基づく推定(1995年三陸はるか沖地震への応用)
Facal Mechanism Estimated by Non Linear Least Squares Fitting(Applications to the 1995 Sanriku Far off the Coast earthquake)
Crustal Dynamics Department Shinzaburo OZAWA
要旨
その結果、三陸はるか沖地震の余震分布や地震波解析結果とよく一致する地震断層モデルを推定することができた。
これにより、国土地理院の全国GPS網に代表される高精度の地殻変動データを用いることにより、他の観測と非常に調和のとれた地震断層の解析を行えることが示された。
今後、国土地理院の地殻変動観測業務に、このような解析手法を導入し、地震が起きた際、即座に地震断層運動のメカニズムを解析し、情報を提供するシステムを構築することが可能性として考えられる。
本文[PDF:274KB]
高密度電子基準点網の構築
Establishment of New Dense GSI's Nationwide GPS Array
測地観測センター 飯村友三郎・宮崎真一・佐々木正博
Geodetic Observation Center Yuzaburo IIMURA, Shinichi MIYAZAKI, Masahiro SASAKI
国土地理院のGPS連続観測は、当初、地域別に運営されていたが、 平成8年度からGPS観測点を高密度に配置するとともにシステムの 自動化・高精度化等の機能を向上させて全国を統一するGPS連続観測システムとして運営を開始している。
平成9年4月からは、さらにシステムを向上させた約900点の世界最大級のシステムとして運用することになる。
これにより,測量の基準点として電子基準点が使いやすくなったばかりでなく地殻変動の検出率も高くなり、 その信頼性が向上してきた。
また、全国における地殻変動のデータが着実に蓄積され、日本列島の地殻変動の様相が詳細に解明されるようになってきた。
本稿では,新しい GPS連続観測システムの概要と得られた成果について報告する。
本文[PDF:1,065KB]
基本情報調査について
Basic Information Survey
Topographic Department Yasuhiro FUKUSHIMA, Masakatsu MAENO, Osamu KAI
要旨
本事業は、国及び地方公共団体の協力を得て、国土に関する基本的な最新の地理情報を常時収集・調査し、情報のデータベース化を図り、2万5千 分1地形図等の常時修正・提供,数値地図等 新たな成果の作成・提供を目指すものである。
本稿では、「基本情報調査」事業開始以来、2ヶ年にわたる取り組みの状況について報告する。
本文[PDF:600KB]
1888年小磐梯崩壊前後の地形図から求めた差分量
Estimation of Collapse Volume Using Topographic Maps Compiled before and after the Kobandai Collapse in 1888
地理調査部 水越博子・村上広史・星野 実
Geographic Department Hiroko MIZUKOSHI, Hiroshi MURAKAMI, Minoru HOSHINO
要旨
しかし、1889年に農商務省地質局(現在の地質調査所の前身)により作成された1:50,000災害地形図「磐梯山之図」(米地,1992)を数値化し (水越ほか,1994)、陸地測量部により1926年に発行された1:50,000地形図「磐梯山」から作成した数値データとの差分をとって小磐梯崩壊前後の高度差分量を算出したところ、0.14±0.11km3という値を得た。
この値は Sekiya and Kikuchi(1890) が算出した値より一桁少ないが、セントヘレ ンズ火山災害の研究結果と比較しても整合している(水越・村上,1997)。 本報告は、「磐梯山之図」の数値化から、小磐梯崩壊前後の高度差分量の算出までの過程で得られた成果に加え、その作業過程において得られた知見をまとめたものである。
本文[PDF:1,782KB]
ファクシミリ地図の提供について
Facsimile Map Service
Cartographic Department Yasushi SHIMOYAMA, Takeshi OHYAMA
要旨
まず,ファクシミリによるサービスの長所をもとに,そのあり方に関する視点を整理した。
次に,ファクシミリ地図のデータ作成手法,特に,地形図ラスタ(画像)データをもとにした方法について検討した。
また,任意の地点を中心として出力する方法については,提供までの時間等を考慮し,あらかじめ何らかのキーに基づくデータを用意しておく必要があると結論づけた。
また,一般家庭への提供の場合,実費をユーザが負担することで料金徴収を行わなくてよいと考えられるが,徴収する場合にはダイヤルQ2の利用によりサービスの提供が可能になることが明らかになった。
今後これらの課題を解決し,ファクシミリ地図提供サービスの一層の普及を図ることが望まれる。
本文[PDF:823KB]
数値地図情報を利用した触地図作成システムの開発
Development of Producing System of Tactile Map Using Digital Geographic Data
Cartographic Department Yoshinori OHTSUKA, Junichi FUJISAKU
要旨
本文[PDF:581KB]