(参考資料)用語集

ア行

<ISO/TC211>
工業製品・部品・使用技術の規格統一を推進する国際機関であるISO(国際標準化機構)のもとに、地理情報システム(GIS)の国際標準化を目的として1994年4月に設置された211番目の専門委員会(technical committee)。

<アジア太平洋インド洋地域国際地震・火山観測網(DAPHNE:Deployment of Asia-Pacific Hazard-mitigation Network for Earthquakes and volcanoes )>
「地震・津波・火山噴火などによる自然災害の深刻なアジア地域と日本の基盤観測網がカバーしていない太平洋地域を中心とする地域において、国際的に連携した地震・火山観測網を展開し、地震・火山噴火の発生機構および発生場の解明と災害軽減に資する情報を国内外の関連機関に提供する」ことにより、「日本の地震・火山活動などの自然現象の理解と防災に役立つ情報の精度向上を目指す」、「アジア・太平洋諸国への基礎科学振興と自然災害軽減に貢献する」ことを目的としたプロジェクト。

(主な実施機関: 文部科学省・防災科学技術研究所)(実施期間: 平成17年度から10年間)(協力機関: 気象庁・国土地理院・海洋研究開発機構・東大地震研・北大・京大防災研・建築研等)

<アジア太平洋GIS基盤常置委員会(PCGIAP:Permanent Committee on GIS Infrastructure for Asia and the Pacific>
国連アジア太平洋地域地図会議(UNRCC-AP)の勧告に基づき、地理情報システム(GIS)に必要な基盤データの整備促進を図るため、同地域56カ国・地域の国家測量・地図作成機関の代表がメンバーとなり、1995年から活動を開始。2000年から国土地理院が事務局を担当(会長:オーストラリア、副会長:中国)。地図会議は毎年開かれ、2005年度は5月にインドネシアで開催。

<アジア太平洋地域空間データ基盤整備(APSDI:Asia-Pacific Spatial Data Infrastructure)>
PCGIAPのプロジェクトの一つで、アジア太平洋地域の経済・社会的発展に必要となる基本的空間情報データベースのネットワークを地域内に整備すること。

<位置情報>
地理情報のうち、事象・対象の位置を明らかにする情報。緯度・経度・高さ、またはX、Y、Z等の座標で表現。

<SAR:Synthetic Aperture Radar(合成開口レーダー)>
リモートセンシングセンサーの一種。人工衛星や航空機が移動しながら搭載したセンサから地上に向けてマイクロ波を照射し、その反射波を次々と合成処理することにより、その軌道上に仮想の巨大アンテナがあるのと同等な高分解能の画像が得られるようにするレーダーシステム。同じ場所を時間間隔をおいて2回観測し干渉処理を行うと、微少な標高差を高精度に検出することが可能で、地殻変動の面的な分布の計測に利用されている(干渉SAR)。二つのアンテナを搭載して、画像と同時に干渉情報を取得することにより、地形計測を行うことも可能。

カ行

<擬似GPS>
GPS補強として、GPS衛星と同等の信号を地上局より送信するシステム。シュードライト(Pseudolite)ともいう。

<空中写真>
飛行中の航空機などから航空カメラにより地表面を撮影した写真のこと。同一地点を複数の位置から撮影することにより、地表面の3次元情報を取得することができる。

<クリアリングハウス(Clearinghouse)>
空間データ等の所在とその規格・書式を掲示する通信ネットワーク上のサービス。クリアリングハウスの活用により、利用者が必要な情報を入手することが可能になるため、情報の流通が促進される。

<公共測量>
「公共測量」とは、測量に要する費用の全部若しくは一部を国又は公共団体が負担若しくは補助して実施する測量をいう。(測量法第5条)

なお、ここでいう「測量」には、基準点測量、地形測量などの一般の測量のほかに地図の調製や測量用写真の撮影も含まれている。ただし、小道路や建物のため等の局地的測量又は高度の精度を必要としない測量で測量法施行令(昭和24年政令第322号) 第1条に定められている測量は、除外される。

<高精度三次元測量>
全国の一等水準路線において5年周期で水準測量を繰り返し実施するとともに、VLBI観測点、電子基準点、絶対重力観測点等に水準点からの高さの取り付け観測を実施し、水準点の正確な標高及び地殻変動の三次元的な変動を高精度に検出する測量。

<高精度地盤変動測量>
干渉SARにより観測する面的な地殻変動及び地盤変化の分布を高精度に検出する測量

<国際超長基線測量>
超長基線電波干渉法(VLBI:Very Long Baseline Interferometry)*による国際観測を推進するための組織として1999年に設立された国際VLBI事業(IVS:International VLBI Service for Geodesy and Astrometry)が計画し、国際協力によって行われるVLBI測量をいう。IVSには、主要国の測量や宇宙関係の国家機関が参加しており、国土地理院は観測局および相関処理局として参加している他、評議員を派遣し、IVSの運営に関与している。

<超長基線電波干渉法(VLBI:Very Long Baseline Interferometry)>
宇宙の彼方にあるクエーサー(準星)から放射される電波を、数百km以上離れた2ヶ所以上の電波望遠鏡で同時に受信し、その到達時刻の差を計測する技術。国土地理院では、数千km離れた2地点の距離を誤差数mmで測定し、測地網の規正やプレート運動の監視に使用

サ行

<災害状況図>
災害発生後の被災状況とそれらの位置とを、国土地理院が空中写真等の画像情報の判読や現地調査で確認し、地図に表示したもの。

<GIS:Geographic Information System(地理情報システム)>
電子情報化した地図データと空間データ(地理的位置や空間に関する情報を持った自然・社会・経済等の属性データ)をコンピュータ上で結合させ、統合的に処理・管理・分析し、その結果を表示するコンピュータ情報処理システム。

<GPS:Global Positioning System(汎地球測位システム)>
4~5個以上の人工衛星の電波を同時に受信して位置を正確に求めるGNSS(Global Navigation Satellite System-汎地球測位航法衛星システム)の一つで、船舶や航空機等の航法支援システムとして1970年代に米国で開発。上空視界が開けている場所であれば、全世界で共通に利用可能。国土地理院では、電子基準点によるGPS連続観測、精密測地網測量や地殻変動測量、基準点測量に利用し、複数の受信機により㎜単位の高精度で測位を実施。GNSSには、GPS以外にも、ロシアで開発・運用している「ЛОНАСС(GLONASS)、ヨーロッパ連合で計画しているGalileoなどがあり、我が国で打ち上げが計画されている準天頂衛星計画にもGNSSとしての機能を持たせることが計画されている。

<GPS連続観測システム>
測量と地殻変動監視を目的として、全国に配置された1,231点の電子基準点(GPS連続観測施設)と中央管理システム(茨城県つくば市)からなる国土地理院の連続観測システム。

<地震防災対策強化地域>
大規模な地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、地震防災に関する対策を強化する必要がある地域。

<指定行政機関>
災害対策基本法(昭和36年法律223号)に基づく指定行政機関(国の省庁で内閣総理大臣が指定する機関)で国土地理院も含まれる。

<重力測量>
重力値の地理的分布や時間変化を精密に求めるために行う重力加速度の測量のこと。重力は、地球上の位置や高さにより各地で値が異なるほか、地下の鉱床や断層などの地球内部の構造の違いにより値が異なる。また、地震や火山活動により重力は時間とともに変化する。国土地理院での重力測量結果は、重力図の作成に利用されるとともに、地球の形状(ジオイド)に関する研究や、地震予知・火山噴火予知などの地殻活動に関する研究に必要な資料になる。

<自律移動支援プロジェクト>
革新的なユビキタス・ネットワーク技術の活用により、「いつでも、どこでも、だれでも」が必要な情報をリアルタイムで提供する「場所情報システム」を活用することで、「移動経路」、「交通手段」、「目的地」等の情報を音声、文字、他言語等を用いて利用者に提供し、高齢者・障害者等が行きたい場所へ自由に移動することを可能とするシステムの構築を目指すプロジェクト。

<精密三次元データ>
航空レーザ測量により取得した標高データから、家屋・高架・橋梁等の人工構造物および樹木等の植生をフィルタリング処理等により除去し、5m間隔に内挿補間し求めた数値標高モデル(DEM:Digital Elevation Model)データで、「数値地図5mメッシュ(標高)」として刊行している。

<全球地球観測システム(GEOSS:Global Earth Observation System of Systems)10年実施計画>
第3回地球観測サミット(2005年2月,ブリュッセル)で、地震・津波等の自然災害や地球規模の気候変化等を対象とする全地球的規模の観測システムを、今後10年間で世界各国が協力して構築するための実施計画を策定した。これにより関係各国・機関は、既存の人工衛星、航空機、船舶、ブイ、地上観測、地震・津波観測ネットワーク等の多種多様な観測あるいは将来の複数のシステムを効果的にネットワーク化し、大気、海洋、陸地、植生などからなる地球の状態を全地球規模で把握し、そこで得られた有益な情報の積極的な流通を可能とすることを目指す。

タ行

<断層モデル>
地震で動いた断層の位置や形状をモデルにしたもの。通常、位置(緯度、経度、深さ)、サイズ(長さ、幅)、向き(走向、傾斜)、ずれの方向、すべり量の9つのパラメータで表す。

<地球地図(Global Map)>
地球全体の地形・植生や土地利用の情報を全世界同一仕様(1kmメッシュ、縮尺100万分の1)で、カバーする数値地図。世界149の国と地域の参加により整備中。地球環境の実態やその変化を把握するとともに、地球環境問題の分析や施策立案を行うために利用される。

<地球地図国際運営委員会(ISCGM:International Steering Committee for Global Mapping) >
地球地図整備に向けた調整の促進、整備方策検討のための常設組織として1996年に設立され、事務局長は国土地理院地理調査部長が務める(会長は、D.R.Fraser Taylor教授・カナダ)。委員会には、17カ国の国家地図作成機関の長クラスの委員と国際機関等からアドバイザーが参加。年1~2回の会合を開催。2005年の会合(第12回)は4月にエジプト国カイロで開催。

<地理情報>
特定の場所に結びついた事象・対象について、その位置や形状に関する情報とそれ以外の性質(時間の概念を含む)に関する属性を、一定の仕様で記述した情報群。地理情報を、特定の仕様(図式)で記号化し、画面表示または印刷したものが「地図」である。

<電子基準点>
国土地理院が全国1,231箇所に設置しているGPS連続観測を行う基準点。

<電子国土>
数値化された国土に関する様々な地理情報を位置情報に基づいて統合し、コンピュータ上で再現するサイバー国土。

<電子国土Webシステム>
国土地理院が提供する基盤的地理情報と行政機関等が保有する地理情報について、インターネットを利用して自由に発信できるシステム。専用サイトから無償で、いつでもどこでもだれでも地理情報を利用することが可能。

<電子国土基幹情報>
国土地理院が整備、更新している、位置情報基盤に基づく、国土に関する基本的な地理情報。

<特別測地共同観測プロジェクト>
2004年スマトラ沖地震による津波の影響を調べ今後の防災に寄与するため、関係諸国からGPS及び検潮のデータを収集し、データ解析を行う測地プロジェクト。日本とオーストラリアが主導する。2005年5月第11回PCGIAP総会で決議された。

<土地条件図>
表層地盤の構成物質、形成時代、成因などに基づく山地、台地、低地といった土地の分類と人工改変の有無および地盤高など、洪水や津波、地震時の液状化、土砂災害などの自然災害に対する土地の特性を表す要素を区分して表示するとともに、防災機関・施設等を表示した国土地理院が整備している地図。

ハ行

<ハブ&スポーク構造>
多数の要素を相互に接続する際に伝統的に用いられてきた構造で、複数の要素が1つの拠点に接続したネットワーク構造をハブとスポークからなる自転車等の車輪に見立ててついた呼称。電話の交換機、ネットワークの回線などIT分野、航空機やバスの路線等でもハブ・アンド・スポーク構造が採用されている。

<VLBI:Very Long Baseline Interferometry(超長基線電波干渉法)>
宇宙の彼方にあるクエーサー(準星)から放射される電波を、数百km以上離れた2ヶ所以上の電波望遠鏡で同時に受信し、その到達時刻の差を計測する技術。国土地理院では、数千km離れた2地点の距離を誤差数mmで測定し、測地網の規正やプレート運動の監視に使用。

ヤ行

<ユニバーサルデザイン>
あらかじめ、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方。

ラ行

<リアルタイムキネマティック測位>
GPS衛星からの搬送波を用いた高精度の相対測位の中で移動する物体の位置を瞬時に決定する方法。

<リアルタイム更新>
基本情報調査により得られた変化情報を用いて、国土基本情報を常時更新する事業のこと。

<リアルタイム地殻変動モデリング>
GPS1秒サンプリングデータによるリアルタイムキネマティック測位の高精度化を行い、地殻変動の検出能力の向上を図る。さらに、地震発生後10分以内に地殻変動に基づく断層モデルの自動推定が可能となる手法を開発する構想。