高度情報化社会における位置情報基盤・地理情報基盤の構築に向けて

平成17年度は、いつでも、どこでも、だれでも位置情報・地理情報を利活用できる社会の実現を目標とした、第6次基本測量長期計画(計画期間:平成16~25年度)の2年目にあたる。この計画では、位置情報基盤の整備、電子国土基幹情報(地理情報基盤)の整備、防災・減災のための位置情報・地理情報の整備を基本的な柱としており、これに沿って平成17年度は、特に以下の3項目について重点的に取り組む。
1 明るい未来を拓く位置情報基盤・地理情報基盤の構築
2 地域の活性化に向けた測量行政の推進
3 防災・減災対策のための位置情報・地理情報の整備・提供の推進


第一に、だれにでも優しいユニバーサルデザイン社会の実現に向けた施策を支援するため、位置情報・地理情報の整備・提供を推進する。
平成15年3月より国土交通省、総務省、厚生労働省、経済産業省、警察庁等の連携により検討が開始されている、「自律的移動支援プロジェクト」と歩調を合わせ、生活に密着した福祉や物流等に関する位置情報や地理情報を活用したサービスの拡大を支援するため、位置情報・地理情報の整備や新技術の開発等を実施する。このような基幹的な情報整備及び技術開発を国土地理院が行うことにより、民間等の応用技術の開発を活性化し、高精度で信頼性の高い位置参照技術を必要とするサービス等の発展に寄与する。
また、年間数cmもの地殻変動が蓄積している我が国において、だれもが、精度の高い位置情報基盤に基づく位置情報・地理情報を安定して提供・利活用できるようにするためのシステム構築を推進する。さらに、世界の国家地図作成機関をリードして、位置情報・地理情報の整備・提供の分野から、地球規模の諸問題解明に寄与する取り組みを推進する。


第二に、測量行政の立場から、地域の活性化に寄与する取り組みを推進する。
それぞれの地域を取り巻く環境の変化や地域のおかれている条件を容易に捉えることができるよう、国土地理院がこれまで蓄積してきた基準点測量、地図、空中写真等の測量成果を時系列的かつ体系的に取りまとめた国土変遷アーカイブを構築する。これに電子納品される公共測量成果等を合わせて、電子国土Webシステム等のGIS技術を利用して、インターネットで簡便に利用できる環境を構築する。
また、地籍調査に資する情報整備の促進や大縮尺図の整備に関する検討を行うとともに、公共測量への新技術の導入を促進する。


第三に、防災・減災に関する情報の整備・提供を推進し、国民が安全・安心で暮らしやすい社会の実現に寄与する。
平成15年6月に運用開始された国土交通省の防災情報の提供サービス(防災情報提供センター)では、平成16年度より電子国土Webシステムを組み込んだところであり、その一層の充実を図る。あわせて、東海、東南海・南海地域に加え、日本海溝・千島海溝周辺地域等における地殻活動監視の強化や防災地理情報等の充実を図る。


高度情報化社会における位置情報基盤・地理情報基盤の構築に向けて